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クレジット・アウトルック:ルールの変化

クレジット・アウトルック:ルールの変化

30-06-2020 | インサイト

「共通の敵」は、政策立案者による大規模な非伝統的で協調的な一連の刺激策を引き起こしました。すべてのルールが変更されました。政府の景気刺激策は、中央銀行によって資金調達されます。

  • Victor  Verberk
    Victor
    Verberk
    CIO Fixed Income and Sustainability and Portfolio Manager of Robeco Global Credits
  • James Stuttard
    James
    Stuttard
    Head of Global Macro team and Portfolio Manager, Robeco
  • Sander  Bus
    Sander
    Bus
    Co-head Credit team

要点

  • 市場は新型コロナウイルスを停滞ではなく、経済成長に対する一時的なショックとして捉えている
  • 前号(共通の敵)で指摘した、”買いの絶好の機会”は概ね終了
  • 中央銀行の支援策が支配するのか、或いはすぐにファンダメンタルズの悪化により打撃を受けることになるのか
「今回が50回目のクレジット四半期アウトルックとなります。約13年に亘る景気循環と信用循環の予測を経て、私たちはこれまで以上にクレジット四半期アウトルックの有用性に満足しています。なぜなら、それはマクロ環境を理解するのに役立つからです。外部の専門家と議論を重ねることで、私たちは自信を高めることができ、或いは、逆張り的な発想を取ることができます。受託資産の運用方針についての洞察を提供することにより、お客様のお役に立てることが出来るならば幸いです。過去10年間にわたり、本格的な銀行危機、ソブリン危機、そして最近では石油危機と人道危機について著してきました。来るべき10年が何をもたらすかを考えることに興奮を覚えます。現時点において重要な点は、新型コロナウイルスが政策当局者の行動に転換点をもたらしたかどうかということです。」


ロベコ クレジット部門共同責任者 Victor Verberk

クレジット・アウトルックの約13年間をテーマとした、Victor VerberkとSander Busによるウェビナーもご覧ください。

足元の景気の悪化は、これまでの経験では語れない形のものでした。さらに、石油供給ショックは、リスク資産にとって完全なハリケーンをもたらしました。その後、市場は急騰しましたが、新型コロナウイルスは経済成長の(一時的な)ショックとして捉えられているようです。

この上昇を正当化するためには、利益の正常化が必要ですが、実現することは難しいと思われます。

共通の敵」は、政策立案者による大規模な非伝統的で協調的な一連の刺激策を引き起こしました。すべてのルールが変更されました。政府の景気刺激策は、中央銀行によって資金調達されます。私たちはこれについても疑問を持っています。

今のところ、投資適格については前向きな姿勢をとっていますが、ハイイールドについては慎重なスタンスに変更しています。クレジット市場は、テクニカル要因に支配されるかもしれませんが、ファンダメンタルズ要因が再び市場を支配するもしれません。(ファンダメンタルズの悪化によりスプレッドが再度拡大すれば)もう一度リスク取得の機会が訪れるかもしれません。

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前例のない下落と印象的な回復

クレジット市場と株式市場は前例のない下落を経験しましたが、その回復も同じように印象的でした。利回りが低水準で固定されている時は、金融市場には、「代替的な手段はあまりない」のです。したがって、流動性とリスク・プレミアムは潮の満ち引きの様に増減を繰り返すことになります。再び、大きな流動性イベントが発生するかもしれませんが、中央銀行が介入する商品を用意していることを考えれば、3月のような展開になることは予想していません。

我々はポートフォリオをリスク管理しなければなりません。重要なのは、強気シナリオもしくは弱気シナリオのどちらが正しいものであるかではなく、取ったリスクに対して報われるかどうかです。スプレッドは依然として過去の中央値レベルを上回っていますが、注意すべき点もあります:

  • ハイ・イールド債では平均は存在しません。今日、BBB格の同業他社よりもレバレッジが低い適正価格のBB格の企業は別にして、かなりの数の企業が債務不履行に陥るという困難な状況に陥っています。
  • デフォルトの可能性を考慮に入れると、ハイ・イールドETFとデリバティブは、再び過去最低のスプレッド水準に近づいています。
  • 多くの新興市場国は、継続的な支援の能力が乏しいと考えられるため、 投資適格債では、新興国市場のクレジットについて注意する必要があります。

我々はこれまで同様、債務水準について懸念を持っています。企業がここ数カ月間にグロス・レバレッジを大幅に増加させた(おそらく現金保有を増やすため)一方で、EBITDAのレベルは今後数カ月間に悪くなるであろうことを説明することは有益です。その結果、企業のレバレッジは増大していくことになるでしょう。

それでも、金利水準が恒久的にゼロ(或いはほぼゼロ)になると、債務水準はそれほど問題ではないと説く向きもあります。しかし、資本市場へのアクセスは問題となります。借り換えのハードルが鍵となりますが、投資適格債の場合、このハードルは中央銀行(の強力な支援策)によって部分的に取り除かれたように思われます。一方、ハイイールド債ではファンダメンタルズがより重要となってきます。

とは言え、より楽観的な点があることも事実です。例えば、政府の支援策により、銀行の中小企業向け貸出しに対する損失の平準化と緩和が見込まれます。さらに、銀行融資の促進を目的とする「条件付き長期リファイナンシングオペ(TLTRO3)」金利は、最大マイナス1%まで引き下げられ、銀行に対しての大規模な補助金として機能します。したがって、銀行が融資を縮小しない限り、多額の補助金を受け取ることになります。債権者にとっては、銀行セクターは、政府支援も見込まれ、スプレッドは魅力的と思われます。

市場サイクル | マーケット・セグメントに対する我々の見解のマッピング

出所:ロベコ、2020年6月

企業行動についてですが、どの企業もバランスシートの改善を進めているという稀有な状況にあります。また、政府支援の条件として、自社株買いと配当実施が制約される方向にあります。このような状況は、クレジット投資にとっては良いものと言えます。

テクニカルズ:双方向の流動性は存在しない

政策立案者は、財政問題に直面したときには、敗北を受け入れるよりも多くの流動性を供給することを優先するでしょう。この現実に対処する必要があります。

現在、クレジット市場には双方向の流動性がありません。投資信託に資金が流入する中では売りに回り、中央銀行が数日間市場から退出し流動性が枯渇した際には買いに回る。黄金のルールは逆張り的スタンスであり、資金流出から身を守るためにある程度の現金比率を保つことです。

中央銀行が効果を上げてきたことは評価すべきでしょう。最良の例は、連邦準備制度理事会によるSMCCF(セカンダリーマーケット・コーポレートクレジットファシリティー)です。2回目の発表では、より多くの実行内容を伴い、クレジット市場の反発を引き起こしました。実際には大規模なものではありませんでしたが、それでも市場安定化に十分機能しています。ただし、FEDは支払い不能の企業の社債は購入対象とはしていないことには留意が必要です。

ハイイールド債では、テクニカルな背景が異なります。ここで、景気後退とは、10年に1度の弱気の発行体の集まりを意味し、いくつかの弱気の市場プロセスが存在しています。通常CCC格の額面残高はB格のそれを大きく上回り増大します。過去の2回の景気後退ではプロセスには数年かかったことを考慮すると、今回のプロセスはまだ始まったばかりと考えられます。確かに、中央銀行の強力な流動性供給はありますが、今次弱気相場がわずか5週間(過去のプロセスで要した期間の5%)で終了するとは考えにくいと言えます。

アクティブ運用が不可欠

投資適格債では、良好なリターンを生み出す余地がまだあります。ハイ・イールド債では、スプレッドとデフォルト・サイクルの分断が本格的に始まる可能性があることから、ベータは抑え気味としています。

ハイ・イールド債の中では、BBB格よりも低いレバレッジを持つ比較的安定したBB格の企業を選好しています。また、自動車セクターの優良企業や、銀行セクターの投資適格のカテゴリーもあります。ホテルやレジャー産業でも選択的な投資機会が存在します。しかし、株式市場とクレジット市場の双方において、多くの良いニュースが既に価格に織り込まれているように思われることを考えると、基本的には、景気循環において、防衛的になる必要があると考えます。

今後、前述の背景から、より多くの投資機会が存在すると考えます。これはアクティブ運用にとって理想的な環境と言えます。

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