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事実か虚構か:サステナビリティ投資を行うのに十分なデータはない?

事実か虚構か:サステナビリティ投資を行うのに十分なデータはない?

13-09-2018 | インサイト

「情報は力なり」とよく言われますが、サステナビリティ投資が有効に機能することを示す十分なデータは存在するのでしょうか。実はデータを見つけられないことが問題なのではなく、その処理方法を知っているかどうかなのです。

  • Masja Zandbergen
    Masja
    Zandbergen
    Head of ESG integration
  • Guido Moret
    Guido
    Moret
    Active Ownership Specialist

要点

  • サステナビリティ投資は伝統的投資に比べ、トラックレコードは長くありません。
  • 多種多様なデータの供給源が数多く存在し、業界にデータを提供しています。
  • EUは分類体系を整備する計画により、平等な競争の場を生み出すことを目指しています。

時代を切り開く他の新たな産業と同じように、サステナビリティ投資も何十年、何百年前から確立された思考方法に挑戦を突き付けています。サステナビリティ投資はその点で確かに比較的新しい概念です。石炭の燃焼に関するデータは既に19世紀から世界に存在する一方で、太陽エネルギーや電気自動車に関する研究は比較的新しいものです。従って、投資家の一部には、この分野への新規投資を正当化する十分な情報の存在を疑う人がいるのも頷けます。

しかし、実際は、サステナビリティ投資に使用される情報やデータは大量に存在し、簡単に入手できるのみならず、その規模と範囲は日々拡大しています。実際のところ、データに関するこの誤った見方が無くならない理由の1つは、データの多さに圧倒され処理できずにいる投資家が存在するからなのです。新たなサステナビリティに関するプロジェクトは日々ネット上に現れ、投資家にとって、その意味を理解することはますます重要になっています。

サステナビリティ投資に関する9つの新たな考え方

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メディアとデータ提供サービス

1990年代以降のサステナビリティ投資の成長と並行するように、データ提供会社や業界をカバーするメディアグループも増加してきました。多くは特定の分野に特化しており、大きく3つのグループに分かれます。投資プロセスに使用するための新たなデータを収集するグループ、検索可能なデータベースとして利用できるよう既存データの分析、キュレーションを行うグループ、そしてサステナビリティに関するニュースを発信し、その内容をさらに広めるためのイベントを企画するグループです。

今では多くの専門のデータ提供会社が、ESG情報を投資判断に利用する投資家に販売しています。また、議決権代理行使のサービスや株主総会で投資家の投票結果を記録するサービスを提供し、エンゲージメントやガバナンス活動を支援する会社もあります。さらに最近では、AIを使って無秩序なランダムのデータを解析し、傾向を導き出すサービスもあります。

投資家向け白書や年次アウトルック、解説記事などの資料全般を集めたキュレーションサービスを行う企業が現れる一方で、業界自体をカバーし、会議・イベントを主催し、情報を提供する専門メディアも出現しています。ニュース配信を行う通信社の中には、3つの分野全てにおいて、顧客向けに広範囲なESGデータベースとニュースのアーカイブを構築している企業もあります。

さらには、サステナビリティ投資に特化した株式市場インデックス提供会社や格付け会社もあります。ロベコSAMは、1999年にダウ・ジョーンズグループと提携し、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックスを創設しました。このインデックスは、ロベコSAMが集めた情報に基づき、世界で最もサステナビリティに優れた企業で構成されています。その後、MSCIのグローバル・サステナビリティ・インデックスやESGインデックス、FTSE4Goodインデックスシリーズなど、他のインデックスも発表されました。格付けについては、他の条件と共に、ESGの信用度に照らして投資ファンドのレーティングを行う、モーニングスターをはじめとする専門会社が挙げられます。

内製でのデータ収集

資産運用業界では、現在、ほぼ全ての資産運用会社や銀行が、社内のサステナビリティ・チームを持ち、データを収集し、それを投資プロセスの一環として使用しています。ロベコは、グループ会社のロベコSAMが実施する年次のコーポレート・サステナビリティ評価(CSA)と、半年に1度のカントリー・サステナビリティ・ランキング(CSR)を使用しています。

CSAは、世界の大企業上位2,500社を含む、4,000社以上の上場企業に送られる質問票による調査です。その質問票では、その企業のビジネスに直接関連する80から120の業界固有の質問を尋ねます。直近の2017年の集計では、1社あたり600以上のデータ数で、60の業界が対象となっています。

この独自のリサーチが、ロベコとロベコSAM両社におけるESG統合の根幹を成します。また、大手上場企業のESGの実績を1999年から体系的に評価してきたことから、ロベコSAMは現在では、世界最大級の財務上重要なサステナビリティ情報の包括的なデータベースを保有しています。

情報を意義あるものに

これらの情報の拡大がそれ自体1つの独立した産業を生み出し、それらの情報の質を向上させ、投資家にとって有意義なものへと昇華させてきました。多くの企業は、企業の社会的責任(CSR)や他のサステナビリティのイニシアティブをどのように進めているのかを開示したいと考えていましたが、それを有効な方法で広く知らせるプレゼンテーション能力に欠けていました。1997年、世界でサステナビリティに関する報告の質を向上させるグローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)がスタートし、現在600以上の企業がメンバーとなっています1

同様に、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトは、企業や都市や国が環境に与えるインパクトについて報告する非営利団体です。2018年には、排出量に関する「グローバル・サプライチェーン・レポート」を発表しました。リスクに関する詳細な情報を提供する気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)など、他にも同様の活動を行う多くのNGOが存在します。TCFDが対象とするリスクの中には、保険会社や海岸地域でのビジネスに影響を与える気候パターンの変化も含まれています2

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EUのイニシアティブ

サステナビリティ投資がこれほどまでに拡大してきたため、現在欧州連合(EU)は、今日と将来の参加者が同じルールの下で活動できる平等な競争の場を整備すべく、作業を進めています。1年間の研究期間を経て2018年1月、欧州委員会(EC)は、サステナビリティ投資業界の重鎮を含む「サステナブルファイナンス・ハイレベル専門家グループ(HLEG)」による提言を発表しました。

その報告書には、EU全体に「グリーンかつクリーンな経済への行程表を提供」できるシステムを創るための戦略的な提言が含まれています。その中のアイデアの1つが、共通のフレームワークとなる分類体系の確立で、これは一連のサステナビリティ投資領域の中での定義の整合性を図り、投資基準を定めることを目指すものです。サステナビリティ投資は、その人の立場によって違う意味で理解されがちなため、サステナビリティ投資とは本質的に何を意味するのか、そして何を意味しないのかの定義を見極めます。この最終的な行動指針は3月に発表されました3

この行動指針は、サステナビリティ、中でも特に地球温暖化対策の共通のフレームワークを創り出すため、他の多国間協議の結果を土台として策定されたものです。それらの中には、2015年のパリ協定の最終声明や、2016年のG20のサステナブルファイナンス・スタディグループによるレポート、そして2017年のOECDの気候への投資のイニシアティブなどが含まれています4

このように、データは確実に存在していて、「どこを見ればよいかを考えるだけで良い」という古い言い回しは当てはまりません。それをどう解釈するか、どう使うかについての課題が残されています。データ解析は役に立ちますが、多くの投資家にとってまだ十分処理しきれていない課題となっています。

1グローバル・レポーティング・イニシアティブ 、2018年1月
2グローバル・サプライチェーン・レポート、 カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト 2018年; 気候関連財務情報開示タスクフォース 2018年
3欧州委員会、「サステナブルファイナンス・ハイレベル専門家グループ最終報告書」、2018年1月
4パリ協定2015年; G20サステナブルファイナンス・スタディグループのレポート; ; OECD、「Investing in Climate, Investing in Growth (気候への投資、成長への投資)」、 2017年

サステナビリティ投資
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