ESGを活用してROEの質を評価

ESGを活用してROEの質を評価

12-01-2016 | インサイト

伝統的な財務分析とESG(環境・社会・ガバナンス)分析を統合することにより、投資家にとって有益な洞察を得ることができます。ロベコでは、損害保険会社の株主資本利益率(ROE)の質や持続可能性を評価するのに、独自に開発したサステナブルROEアナライザーを活用し、ESG情報を用いたを評価を行っています。

  • Johan  van der Lugt
    Johan
    van der Lugt
    Investment Analyst Global Equities

要旨:

  • ESG分析はROEの質の評価に有効
  • サステナブルROEアナライザーの導入
  • 損害保険(財産および災害保険)会社への適用

財務上重要なサステナビリティ課題への投資は株主価値を向上させますが、財務上重要でないサステナビリティ課題への投資は株主価値とほとんど相関がないか、負の影響をもたらすケースもあります。これは、2015年中盤にKan 氏らがハーバードビジネススクールにおいて発表した論文における、非常に重要な研究結果です。この研究により、財務上重要なサステナビリティ課題への取り組みに優れた企業は、見劣りする企業を(株価において)大きくアウトパフォームするという重大な事実が明らかとなりました。

当社が行う分析においては、企業のビジネスモデルや株価の長期的な持続可能性に重要な影響を与え得る要素を評価しています。その際には、企業の収益力の判断に重点を置きます。継続的に収益をあげられるか、生み出された収益の質はどうか、その収益は成長機会・効率性・バランスシートの改善によるものなのか、その企業にとって持続可能な競争上の強みとは何か。当社は、企業が財務上重要なESG課題への優れた取り組みを実践し、それを基盤に、持続的な価値創出力を養い、競争上の強みを保ち続けることが望ましいと考えます。

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損害保険セクターを精査

以下のような理由により、損害保険(財産および災害保険)会社に焦点を絞り分析を行っています。

  • 同業界は気候変動や人口増加、自動走行車、ビッグデータ、サイバーリスクなど、重要な長期的トレンドと密接に関連しています。
  • 保険業界全般と比較して、ESGスコアには改善の余地があります。
  • 望ましい産業特性と合理的な規制当局が存在しています。
  • 保険契約期間が短いため変革の可能性が高いセクターといえます。
  • 経営には保守的な傾向が見られますが、これには長所と短所があります。長期の地位が保証された経営陣は自身の過ちの結果に自ら対応することになり、それが規律ある運営につながっています。

損害保険業界は、世界的に進行する高齢化、経済の不透明性、デジタル化、各種規制などのメガトレンドから影響を受けています。保険会社は、バリューチェーンや収益力に影響を与えるようなビジネスモデルの大きな進化に対応していくことになります。こうした多くのマクロトレンドの展開と共に、損害保険業界は今後10年で一変するでしょう。我々は、その結果として訪れるリスクと機会を予測することが、保険会社やその経営陣に課された役割と考えます。

保険業界にとって、リスク管理とコーポレートガバナンスは最も重要な課題といえるでしょう。我々が最も注視するのは、これらの要素が損害保険会社の収益力にどのような影響を与えるのかという点です。

サステナブルROEアナライザーの導入

株主資本利益率(ROE)はどれも同じではありません。企業のROEの質と持続可能性を精査するために、当社は独自に開発したサステナブルROEアナライザーを活用しています。これにより、業界特有のテーマやESGに関連した長期的テーマとROEを結びつけます。そして、顧客維持率、保険金請求率、経費率、準備金取崩しなどの業種特有の測定基準と、顧客満足度、天候パターンの変化、データ分析やビッグデータ、リスク管理などのESG関連の長期的テーマとの直接的な関連性を見極めます。我々の分析の結果、損害保険業界のROEを支える原動力として以下が挙げられます。

  1. 財務上の原動力:リスク管理、コーポレートガバナンス
  2. 成長および効率性の原動力:サステナビリティ戦略と企業戦略の関連性(データ分析やビッグデータ、サイバー保険、気候変動)
  3. 効率性の原動力:人的資源管理(従業員離職率)

ESG評価ランキング上位企業はROEも高いのか

ESG スコア(ロベコSAMが算出)と予想ROE(ブルームバーグのコンセンサス予想)の関連性を分析すると、ESGスコアの高い企業が自動的に収益力の高い企業を意味するわけではないことが分かります。つまり、高収益力を説明する要素はESGに関連する課題以外にも存在しています。

  • 当社はROEの質と持続可能性を重視しています。高水準の収益力が、高いESGスコアによって補完されれば、ESG関連リスクは低下し、根源的な収益力の質や持続可能性はより高まることになります。
  • 投資の観点から最も興味深いのは、ESGスコアも予想ROEも低い企業です。こうした企業はROEの見通しとESGスコアの双方を改善することによって、どのような価値創出を実現できるのでしょうか。何が構造的な課題で、何が改善可能でしょうか?

サステナブルROEアナライザーは、企業のROEの質と持続可能性を決する収益の原動力に着目した有益なツールです。これは、財務上の重要性を判断し、また、それがどう株主価値創出へとつながるかを見極める実用的なソリューションであると考えます。

重要事項

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