japanja
SI Opener:気候変動のアンビションに合致したポートフォリオの構築

SI Opener:気候変動のアンビションに合致したポートフォリオの構築

29-01-2021 | SI Opener
昨年12月にNZAM(ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアティブ)が創設され、ロベコは創設署名機関の1社に名を連ねました。創設署名機関30社の保有資産残高は、合計で9兆米ドルを上回ります。地球温暖化を1.5℃に抑制する世界的な取り組みと足並みを合わせる形で、各 署名機関は2050年までの温室効果ガス排出量ネットゼロ実現にコミットしています。 さらに、この目標に即した脱炭素化のゴールを設定すべく顧客との協調を図ります。
  • Masja Zandbergen - Albers
    Masja
    Zandbergen - Albers
    Head of sustainability integration
  • Lucian Peppelenbos
    Lucian
    Peppelenbos
    Climate Strategist

要点

  • 2021年は気候変動のアンビションをポートフォリオにおいて具現化することが重要な課題に
  • 5年サイクルでの目標設定が重要な柱
  • スコープ3排出量を含む、将来を見据えた計画が必要
1年ほど前には、33の機関投資家(保有資産残高の合計は5.1兆米ドル)から構成される国際的グループであるNZAOA(ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス)が設立されていますが、NZAMはNZAOAに類似したイニシアティブとなります。NZAOAもまた、投資ポートフォリオの温室効果ガス排出量を2050年までにネットゼロとすることにコミットしています。
最新の「インサイト」を読む
最新の「インサイト」を読む
配信登録

アンビションやコミットメントの段階から目標設定の段階へと移行

気候変動の抑制は、我々当事者の大半にとって明確な最優先課題であり、これらの重要なイニシアティブは真に必要なものと言えるでしょう。しかし、2021年は、これらの長期的なアンビションを投資ポートフォリオや投資慣行に反映し、インパクト創出へつなげることが重要な課題となります。現時点で具体的な目標を設定しているアセットオーナーは、ほんの一握りです。

ここでは、5年サイクルで目標を設定することが重要な柱となります。ネットゼロ・イニシアティブに参加する資産運用会社は、2021年11月に英国グラスゴーで開催予定の第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)の前に、具体的な目標を設定することが求められます。その5年後には、目標の達成状況を評価した上で、その先5年間について新たな目標を設定することになります。これは、国レベルにおいて、国連の気候変動ラチェット・メカニズム(段階的な目標引き上げ)に従って気候政策の見直しを行うのと同様の進め方です。

パリ協定準拠に向けた基準は未整備

現在、目標設定やパリ協定準拠型のポートフォリオ構築に関する実務的指針を提供しようというイニシアティブが、いくつか存在しています。以下の図表は、現時点で最も具体性の高い指針の概要を整理したものです。

図表1 | ベンチマークに対する目標及び指針を設定するイニシアティブ

出所:ロベコ
図表から読み取れるように、目標の多くは流動的であり、また、詳細の策定や意思決定など、整備がこれからの部分も多く残されています。それでは、主な課題は何でしょうか。

排出量のスコープ

第1の課題は、投資家が説明責任を負う排出量のスコープです。ほとんどの投資家は、企業が企業活動において自ら排出する二酸化炭素(スコープ1)と、電力会社などから調達したエネルギーの使用に伴う排出(スコープ2)について、脱炭素化を進めています。実務上、ポートフォリオの脱炭素化に際してスコープ1とスコープ2のみを対象とすることは、生産プロセスが炭素集約型である公益セクターや基礎素材セクターの組入比率の引き下げにつながります。この場合、ポートフォリオのカーボン・インテンシティ(炭素強度)の削減は投資ユニバースに大きくは影響しないとみられるため、投資家にとっては好都合と言えるでしょう。

しかしこの方法では、輸送用ガソリンの利用に伴う排出が大半を占める石油ガスなどのセクターに対する投資の影響度が、明らかに過小評価されてしまいます(スコープ3(下流))。また、サプライチェーンにおいて大量の二酸化炭素を排出する食品も、炭素集約型のセクターです(スコープ3(上流))。私の娘はベジタリアンですが、動物愛護の精神からではなく、食肉のカーボン・フットプリントの大きさが理由です。このように、スコープ3の排出量は計測が非常に難しく、優れた推計モデルが必要であり、段階的な導入が重要になります。ロベコでは、データ収集に際して外部のプロバイダーを利用しています。社内の気候データ・サイエンティストとサステナブル投資リサーチ・スペシャリストが正確なデータの入手・利用に取り組み、データを自社のカーボンアカウンティング(炭素会計)に段階的に導入しています。

過去を振り返るか、未来を展望するか

前年の炭素排出量を分析することは、一時点のスナップ写真を撮影することと実質的に変わりません。過去のトレンドを理解することも重要ですが、各企業や各国の将来的な脱炭素化計画を理解することの方がより重要であり、パリ協定準拠型のポートフォリオを構築する上で不可欠な要素となります。各セクターがどのような方法で、どの程度、いつまでに脱炭素化を進めるべきか、技術や製品の観点から起爆剤となるのは何かを理解することが、重要なポイントです。各セクター、各国、各企業の脱炭素化への道筋を策定するため、投資家は学術界と協働することも必要になるでしょう。

ここで重要なのは、投資家は、世界経済の実態を概ね反映したポートフォリオに投資していると認識することです。すなわち、世界経済が適切なペースで脱炭素化を進めれば、投資家のポートフォリオにおいて実際にあまりアクションを取る必要はなくなります。しかし、現実は異なります。世界経済は(これまでどおりに進めば)3℃を大幅に上回る温暖化の方向に向かっているため、現在のポートフォリオ構成について評価すると、2℃以上の温暖化ペースと推計されます。このため、ポートフォリオをパリ協定に準拠させるために必要とされるリスク・バジェットは、時間の経過とともに変わっていく可能性があります。この状況は、注意深く見守る必要があるでしょう。

エンゲージメントを行うべきか否か

そして、特に重要なのは、ポートフォリオの脱炭素化が現実社会の変化につながるのかと問いかけることであると考えています。言い換えると、投資家は、炭素集約型の企業を売却すれば、排出量の削減に貢献できるのか、ということです。言うまでもなく、直接的には貢献につながらないでしょう。しかし、このような投資行動が増えれば、長期的には影響が及ぶことは明白です。

さらに重要なのは、エネルギー移行に向けてどのような取り組みが最適なのかを考えることでしょう。エンゲージメントすべきか投資撤退すべきかという質問を頻繁にお受けしますが、その答えはとてもシンプルです。英国国教会年金理事会のAdam Matthews氏がロベコ主催のサステナブル投資イベントにおいて次のように明言されましたが、 これ以上適切な表現はないでしょう。「炭素集約型の企業であっても、パリ協定に基づく科学と経済学を裏付けとした、信頼性の高い移行計画を掲げている企業であれば、投資を継続するのはしごく正当なことです。そのような計画を持たず、いわばグリーンカーテンとも言うべきもので投資家の目を遮ろうとしているのであれば、投資を続けるべきではありません。そうした企業には質問を投げかけ、精査する必要があります。」

 ここでは、低炭素経済推進イニシアティブ(TPI)やSBT(科学的根拠に基づく目標)イニシアティブなどによるリサーチと、懸命な取り組みが必要になります。現時点では全ての答えを持ち合わせてはいませんが、速やかな行動が確実に求められます。2021年には、アンビションの段階から測定可能な目標と行動の段階へと移行することが必要なのです。

SI Opener
SI Opener
百聞は一見にしかず。
全記事を読む

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

ご契約に際しては、必要に応じ専門家にご相談の上、最終的なご判断はお客様ご自身でなさるようお願い致します。

運用を行う資産の評価額は、組入有価証券等の価格、金融市場の相場や金利等の変動、及び組入有価証券の発行体の財務状況による信用力等の影響を受けて変動します。また、外貨建資産に投資する場合は為替変動の影響も受けます。運用によって生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。したがって投資元本や一定の運用成果が保証されているものではなく、投資元本を上回る損失を被ることがあります。弊社が行う金融商品取引業に係る手数料または報酬は、締結される契約の種類や契約資産額により異なるため、当資料において記載せず別途ご提示させて頂く場合があります。具体的な手数料または報酬の金額・計算方法につきましては弊社担当者へお問合せください。

当資料及び記載されている情報、商品に関する権利は弊社に帰属します。したがって、弊社の書面による同意なくしてその全部もしくは一部を複製またはその他の方法で配布することはご遠慮ください。

商号等: ロベコ・ジャパン株式会社  金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2780号

加入協会: 一般社団法人 日本投資顧問業協会