2016年の見通し:リターン縮小の1年

2016年の見通し:リターン縮小の1年

07-12-2015 | 年次アウトルック
  • Lukas Daalder
    Lukas
    Daalder
    Chief Investment Officer
  • Léon  Cornelissen
    Léon
    Cornelissen
    Chief Economist
  • Peter van der Welle
    Peter
    van der Welle
    Strategist

1. はじめに

「ボラティリティ上昇の1年」というのが、昨年発行した「2015年の見通し」で取り上げた主要ポイントでした。当社はボラティリティの上昇を予想し、結果としてそのとおりになりました。ボラティリティが高い状況は当面の間続きそうです。2014年と同様、2015年も経済成長は低迷し、経済の観点からは期待はずれの1年となりました。まだ今年は終わっていませんが、世界経済の拡大ペースが昨年より減速していることはもはや明らかです。これは、中国の景気減速のみによるものではなく、大きく値を下げた原油価格や米ドル高の進行という衝撃を、米国経済が吸収しなくてはならない状況にも原因があります。2016年には、世界経済は拡大するものの、そのペースは限定的と予想しています。

今後数年のうちに到来するリスクとして、量的緩和によるリターンの縮少があげられます。量的緩和で債券の購入額が増えるほど、金融市場や経済に及ぼすインパクトはより小さくなっていくと予想されます。リターンの縮少は、金融市場全般にもいえることです。世界金融危機から7年を経た現在、強気相場は成熟期にあります。バリュエーションは上昇し、過去平均を上回るリターンを得られる見通しは後退しています。こうした状況は、とりわけリスク資産に当てはまりますが、控えめながらも景気が拡大するという2016年のシナリオにおいては、ソブリン債も割高な水準にあるといえます。とはいえ、2016年のリターンがマイナスになると予想しているわけではありません。株式やハイ・イールド債などのリスク資産については概ね前向きに見ており、一方で国債については慎重に見ています。

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2. マクロ経済の見通し

2016年には、世界経済は拡大はするものの、そのペースは限定的と予想しています。新興国市場全般の危機や、中国の景気後退といった事態はないと見ています。ただし、どちらのリスクも足下で高まっていることは事実です。原油価格がある程度のレンジ内での取引に安定すれば、大きなデフレ要因がなくなり、世界のインフレ率は現在の水準から1パーセントポイント程度上昇するでしょう。

米国 – 米国における現在の景気減速と、中国をはじめとする新興国市場に対する懸念の高まりを背景に、米国連邦準備制度理事会(FRB)は利上げに対して慎重な姿勢をとる考えられます。2016年に米国の経済成長が著しく加速するどうかは現時点では不明です。2016年のGDP成長率は、2015年と同水準の2.5%と予想しています。また、通年で小幅な利上げが2回だけ実施されると予想します。

中国 – 中国経済は、今年の成長目標である7.0%の達成に苦戦しています。社会の安定のために経済成長が必要であるため、中国政府が許容できる景気減速の度合いは限られています。中国政府が2016年の成長目標を大幅に引き下げるとは考えにくいといえます。おそらく新5カ年計画に即して6.5%辺りを目標に掲げるでしょう。人民元の平価切り下げは手軽な解決法でしょうが、今後数カ月でそのような動きをする可能性は極めて低いと見ています。

欧州 – このところ、ユーロ圏の製造業受注額が大幅に低下するなど、ドイツ経済は困難に直面しているようです。2015年の成長率は結果的に約1.5%程度になると予想しています。2014年末から2015年初めにかけてのデフレは当初4カ月間と短いものでしたが、直近の物価指数はわずかながらマイナス圏に戻っています。これを受けて、当社は欧州中央銀行(ECB)が現行の量的緩和プログラムをもう一段拡大すると予想しています。現在マイナス圏にある預金金利(-0.2%)をさらに引き下げる可能性もあります。

日本 - 日本政府は現在アベノミクス第2弾と、新3本の矢の実行に着手しています。しかし、第1の矢が名目GDPの22%増という途方もない目標を設定しておきながら、目標達成のタイムテーブルや詳細な手段を一切示していないことから、このプログラムの信頼性は限定的と考えています。構造改革から成る第2、第3の矢は、アベノミクス第1弾における第3の矢の一部分に該当し、これまでほぼ実現されていないものです。

3. 金融市場の見通し

昨年当社が提起したテーマが、2016年も引き続き重要なテーマとなるでしょう。資産毎のボラティリティはもはや抑制されておらず、経済や金融政策における相異が、金融市場のボラティリティの起爆剤であり続けるでしょう。

現在の株式のバリュエーションは、もはや(過去平均を上回るような)堅調な株式リターンの創出を支援する水準にないことは明らかです。しかし、何かしら微妙な意味合いを読み取ることはできます。まず1つめは、バリュエーション指標は、中長期的な株式リターンの予測における信頼性は高いものの、1年という期間の予測においてはあまり有効ではありません。2つめは、8月の急落により株価水準は下がりました。したがって、現在のバリュエーションはもはや積極的な支援材料ではありませんが、株式市場暴落の差し迫った危機を示唆する水準でもありません。3つめは、そうした市場下落を引き起こすリスクとは何かという点です。世界的な景気後退は当社の基本シナリオではありません。確かに地政学的リスクは重要な要素ですが、決して目新しい話題ではありません。複数資産の比較からも、株式のバリュエーションに対する前向きな見方への裏づけは得られるでしょう。株式の期待リスク・プレミアムは、リスクを取る見返りに得られたリターンの過去平均を上回っています。これは、現在の環境においては、株式が割安というよりは、債券が極めて割高であることを示しています。

今後12カ月の予想株価収益率を見ると、新興国株式は先進国株式に対して31%割安な水準で取引されており、一見バリュエーションは魅力的に見えます。しかし、過去の水準では、1年間でアウトパフォーマンスを望むのであれば、40%以上割安でなくてはなりません。現在はその水準に達していませんが、FRBの利上げ見込みや、既に大きく落ち込んだ企業収益が回復する可能性を考慮すると、来年には投資のスイート・スポットが訪れるかもしれません。そうなれば、1年という投資期間でアウトパフォームする可能性が高い新興国株式を購入する機会にも恵まれるでしょう。

2015年のソブリン債市場は、投資家にとってより難しい市場となりました。まず、欧州では、4月の調整局面は、多くの投資家の不意をつくものでした。ECBの量的緩和政策である月額600億ユーロの債券購入に乗じる動きは明白と思われていたからです。次に、今年後半に入ると、ソブリン債市場は安全な投資先という位置づけを維持することができませんでした。8月に発生したリスク資産のボラティリティ急上昇の打撃を軽減する役割を果たすことが出来なかったためです。これは、投資家がソブリン債市場は極めて割高であるとの認識を強め、もはや景気回復途中で弱含んだ局面での明白な避難場所ではないと気付いていることを示しています。こうした認識は、FRBがいずれかの時点で利上げを行い、世界のソブリン債に利回り上昇圧力がかかるという見通しを背景に、より一層強まっています。

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