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カーボン・フットプリント削減に向けた5ヵ年目標を設定

カーボン・フットプリント削減に向けた5ヵ年目標を設定

26-03-2021 | インタビュー
脱炭素化の動きが進んでいます。ロベコは先頃、2050年までに全運用資産における温室効果ガスの排出量をネットゼロにするアンビション(意志)を発表しました。パリ協定へのコミットメントに即して、全ての運用戦略に脱炭素化の目標を設定する方針です。投資家の観点では、実質的に何が変わるのでしょうか。ここでは、クレジット部門サステナビリティ統合責任者であるGuido Moret、クオンツ株式チームのポートフォリオ・マネジャーであるArnoud Klepと共に、その影響について議論します。
  • Arnoud Klep
    Arnoud
    Klep
    Portfolio Manager
  • Guido Moret
    Guido
    Moret
    Head of Sustainability Integration Fixed Income

要点

  • 新たに運用を開始した気候債券戦略が、他の戦略における基準の役割を果たす
  • 複数のサステナブル・クオンツ株式戦略がパリ協定準拠型に移行
  • 企業の排出削減が不調に終わると、投資家にとっては追加的な制約が生じる

アンビションの背景にある考え方を説明してください。

Guido Moret: 「このアンビションは、ロベコがNZAM(ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアティブ)の創設を支援する過程で発表されたものです。NZAMに署名した運用機関30社の保有資産残高は合計で9兆米ドルを上回り、署名機関は2050年までの温室効果ガス排出量ネットゼロ実現にコミットしています。このアンビションに基づき、パリ協定の合意に即して、地球温暖化を1.5℃に抑制する世界的な取り組みへの参画を、さらに具体化したいと考えています。」

パリ協定が合意されたのは2015年です。さらに大胆な措置を講じるべきタイミングに来ていました。

「パリ協定が合意されたのは2015年です。さらに大胆な措置を講じるべきタイミングに来ていました。今後は、全てのポートフォリオにおいてカーボン・フットプリント削減に向けた5ヵ年目標を設定します。容易な目標ではありません。どの程度の規模の破壊的創造が必要になるかというと、パンデミック危機に見舞われた2020年ですら、二酸化炭素排出量はせいぜい12~15%程度減少したに過ぎませんでした。2050年までにゼロに近づくためには、2020年と同じ規模の削減を2年毎に達成する必要があります。」

どの分野から着手する計画でしょうか。

G.M.:  「ノウハウを蓄積しながら進むことになるでしょう。ロベコは2020年12月に、2つの気候債券戦略の運用を開始しました。これはパリ協定準拠型投資に関するEUベンチマーク規制に全面的に適合した初めてのグローバル債券戦略であり、クオンツ戦略を含むその他の債券戦略に対する基準になるでしょう。」

「この2つの新戦略は、パリ協定準拠型ベンチマークを上回るパフォーマンスを追求しながら、カーボン・インテンシティ(炭素強度)の加重平均を前年比7%削減することを目標に掲げています。その際、温室効果ガス排出量のスコープ1から3までを対象とします。すなわち、各企業のバリューチェーンに由来する排出を含め、直接的、間接的な排出量を全て考慮に入れます。」

Arnoud Klep:クオンツ株式の分野では、この先数ヵ月の間に複数のサステナブル運用戦略をパリ協定に準拠させる方針です。第一弾はグローバル・サステナブル・コンサバティブ株式戦略です。」

「当該戦略は、2021年3月に『パリ協定準拠型』になりました。当然ながら、最も重要な変更点は、カーボン・フットプリントの削減目標が相当程度厳格化されたことです。現在、ロベコの一連のサステナブル・クオンツ株式戦略では、参照インデックス対比で20%の削減目標を掲げています。これを、出発点で50%削減させ、その後は年7%の削減を目指します。」

具体的には、どのようにカーボン・フットプリントを削減するのでしょうか。

G.M.:  「方法はいくつか考えられます。1つは、ネットゼロの目標に合致しない事業への投資を止めることです。例として、化石燃料生産事業の全面的な投資除外が挙げられます。それ以外のセクターに対する投資は可能ですが、投資対象であり続けるためには、企業には平均で年7%の排出量削減が求められます。」

ロベコのサステナブル・クオンツ株式戦略では、既にエネルギー業界へのエクスポージャーが低減されていますが、パリ協定準拠型への移行後は、さらに厳しい制約が課されます。

A.K.: 「一例を挙げると、ロベコのサステナブル・クオンツ株式戦略では、既にエネルギー業界へのエクスポージャーが低減されていますが、パリ協定準拠型への移行後は、さらに厳しい制約が課されます。燃料炭に関連する企業、石油メジャーをはじめとする大半の石油ガス会社が除外されるほか、電力会社についても制約が厳しくなります。」

しかし、ロベコの全戦略にこのような制約を導入することは、現実的なのでしょうか。

G.M.: 「短期的に考えると、1日で全ポートフォリオにおいて化石燃料生産企業から投資を引き揚げるのはほぼ不可能でしょう。一方、長期的に考えると、年7%の削減目標達成は、市場全体が排出量ネットゼロに向けどのような道筋を辿るかに大きく左右されます。企業が求められる水準まで排出量を削減できなければ、我々も追加的な制約に直面することになります。」

A.K.: 「実際、時と共にグローバル・コミュニティが全体として温室効果ガスの排出削減に成功すれば、株式や債券の銘柄選択において、年7%の削減目標はそれほど厳しい制約とはならないかもしれません。しかしながら、企業サイドにおいて排出削減が不調に終われば、運用機関にしわ寄せが生じて、7%の削減目標の達成は一段と難しくなる可能性があります。」

1つの方法として、企業とのエンゲージメントを通じて、排出量ネットゼロへの移行を支援することが可能です。

G.M.:  「1つの方法として、企業とのエンゲージメントを通じて、排出量ネットゼロへの移行を支援することが可能です。また、二酸化炭素隔離貯留技術(CCS)や森林の再生、あるいはシンプルに、よりサステナブルな農業生産方法の導入によって、温室効果ガス排出を相殺する方法も考えられます。もっとも、これらの選択肢にはいずれも課題や限界があり、特効薬と言えるような方法はありません。」

ポートフォリオを脱炭素化すると、必然的にポートフォリオ特性にも影響があるでしょう。投資家はどのような影響を想定する必要がありますか。

G.M.:  「ロベコのシミュレーションによると、債券ポートフォリオのリスク・リターン特性は実質的に変化しないか、むしろ改善する可能性が示唆されています。脱炭素化によってリターンは低下するものの、リスクがそれ以上に低下するため、シャープレシオは改善することになります。その背景には、ここ最近のエネルギー業界のボラティリティが高水準で推移していることがあります。原油価格との相関が相対的に高いためです。通常の環境で化石燃料関連事業を除外すると、ボラティリティは機械的に低下することになります。」

A.K.: 「クオンツ株式戦略の分野では、ファクター・エクスポージャーを維持しながらパリ協定準拠型のポートフォリオを構築することは可能であることが、シミュレーションから分かりました。理論的には、対象とする投資機会を限定すると、パフォーマンスには一定のしわ寄せが生じるはずです。実際に、そのような分析結果となりましたが、投資機会が潤沢に存在するグローバル投資ユニバースの中では、影響は限定的です。パリ協定準拠型クオンツ株式戦略においては、通常のクオンツ株式戦略が想定するリスク・リターン特性の90~95%を捕捉することが可能でしょう。」

「もっとも、上記のシミュレーションは過去データに基づくものであり、戦略をパリ協定に準拠させることによって生じうるアルファが考慮されていません。座礁資産の発生や移行リスクなどの気候変動関連リスクが高まり、顕在化すれば、パリ協定準拠型への移行に伴うマイナスの影響よりも、プラスの影響の方が重要になるでしょう。要するに、どこに視点を置くかの問題です。」

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