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世界を形作る3つのメガトレンド

世界を形作る3つのメガトレンド

25-04-2019 | インサイト

環境、社会、ガバナンス(ESG)のそれぞれの側面に関わるメガトレンドによって、サステナビリティ投資の世界が形作られようとしています。

  • Guido Moret
    Guido
    Moret
    Head of Sustainability Integration Credits
  • Masja Zandbergen - Albers
    Masja
    Zandbergen - Albers
    Head of sustainability integration

要点

  • 地球温暖化の3つのシナリオと、それらがポートフォリオに及ぼす影響について論じます。
  • 格差の拡大に対し、投資家は、国毎にトップダウン・アプローチで対応すべきです。
  • サイバーセキュリティは新たなリスクと機会の双方をもたらしています。

気候変動は引き続き人類が直面する最大のサステナビリティ課題であり、ビジネス・モデルに劇的な変化を引き起こしています。格差の拡大に関しては、とりわけ債券投資においては、トップダウンの観点で国を評価することが求められます。一方、サイバーセキュリティはボトムアップによる機会とリスクの双方をもたらします。

第1のメガトレンド:気候変動

英国のケンブリッジ大学サステナビリティ・リーダーシップ研究所(CISL)は、地球温暖化を食い止めるための3つのシナリオがもたらす理論上のインパクトの算定を試みました。最も好ましいシナリオは、世界が化石燃料依存型経済から低炭素化社会に急速に移行することですが、それには新しいインフラ整備のための膨大な投資が必要です。こうした移行は費用がかさむだけではなく、短期的には市場の不安定化や経済成長の減速を伴うでしょう。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2018年10月8日に特別報告書を発表し、2100年の世界の平均気温の上昇幅を産業革命前の1.5°Cに抑えるという目標について、2030年にもその水準に達する可能性があると警告しました。それまでに残された期間はわずか11年です。報告書は、1.5°Cシナリオと2.0°Cシナリオでは、地球上の生命に及ぼす影響に大きな違いがあると警鐘を鳴らしています。

残念ながら、より可能性が高いとみられるのは、基本的にこれまでのトレンドが続き、平均気温は2100年までに産業革命以前の水準より2.0°C から2.5°Cも上昇するというシナリオです。世界は徐々に化石燃料依存を縮小しますが、低炭素化の好影響を実感できるまでにはより長い時間がかかるでしょう。

3番目のシナリオは、気候変動リスクによる不利益よりも経済成長を優先するものです。このシナリオでは、当初は、化石燃料に大きく依存した形の経済成長が実現するかもしれませんが、環境の悪化、水ストレス、天然資源の制約等が進むことにより、将来の経済成長に対する市場の信頼が徐々に低下するでしょう。

前述のケンブリッジ大学の研究では、上記の3つのシナリオが4種類のポートフォリオ(①保守型=低リスク、②バランス型、③積極型=高リスク、④債券特化型)に及ぼす影響をモデル化しています。それによると、1つ目と2つ目のシナリオでは、先進国市場でパフォーマンスが最も低いセクターは不動産であり、基礎素材、建設、資本財・製造業がそれに続く結果となりました。パフォーマンスが最も高いセクターは、運輸、農業、小売でした。当然ながら、3番目のシナリオは、高リスク・ポートフォリオの期待リターンに対して、長期的に最も大きな影響を及ぼすことが分かりました。株式の比率が高いためです。その一方、債券特化型ポートフォリオのパフォーマンスが最も高い結果となっています。

第2のメガトレンド: 格差の拡大

国際通貨基金(IMF)のレポートによると、国家間の不均衡は過去30年間で縮小傾向にありますが、国内における貧富の格差は急速に拡大しました。同期間に国内の所得格差が拡大した国の数は全体の53%に達しています。レポートは、国内格差の拡大が特に著しいのは、先進諸国(中でも米国)と一部の新興諸国(中国、ロシア、インドなど)だと指摘しています。

格差拡大は6つの要因によって引き起こされたと考えられます。①グローバル化によって新興国市場が世界経済に統合され、安価な労働力の供給が増加し、先進諸国の低賃金労働に取って代わりました。②技術の進歩によって、いずれの国でも高技能労働者の求人は増えている一方、低技能労働の雇用が失われています。③移民の増加で先進諸国の労働力供給は増加しています。④労働組合の組織率が低下していることから、労働者の交渉力が大幅に弱まり、賃金の下げ圧力が強まっています。

⑤富裕層サイドでは、経済全体に占める企業収益の比率が増加すると、高所得者層に有利に働きます。高所得者層の所得の多くが収益に連動しているからです。一方で、⑥金融緩和政策は資産価格の上昇をもたらし、それによって(通常、富裕層が保有する)株価や不動産価格も上がり、所得格差を広げています。

投資家の立場から見ると、格差が拡大している国では社会不安が起こる可能性が高いと言え、国債の信用力低下が懸念されます。格差によって、経済の減速、投資リターンの不安定化(や低下)、魅力的な投資機会の減少が引き起こされる恐れもあります。そのため、投資プロセスに国別のESG情報を統合する体系的なアプローチが、豊富な情報に基づく投資判断を行うために有効だと言えます。

第3のメガトレンド: サイバーセキュリティ

デジタルによってつながれた社会が急速に進展するにつれ、サイバー犯罪も増え続けています。サイバーセキュリティ企業シマンテックの調査によると、ランサムウェア攻撃は2017年に36%も増え、電子メールの123件に1件はマルウェアに感染していると考えられています。ジャべリン・ストラテジー・アンド・リサーチ社によると、2017年にインターネット利用者全体の6.5%がなりすまし被害に遭い、被害総額は160億米ドルに上っています。

サイバーセキュリティのグローバル市場は、数百もの新規参入企業による新商品やサービスが常に投入されていることから、その規模を正確に算定することは困難です。信頼できる市場調査会社のガートナーとIDCは両社とも、その規模は現時点で800億~900億米ドル、2019年には1,000億米ドルを超えると予想しています。

このトレンドの明るい側面として、ソリューション・プロバイダーがビジネスを成功させる大きな機会を提供している点が挙げられます。ただし、競争は激しく、成功が保証されているわけでもないため、投資家には非常に高度なアクティブ運用アプローチで臨むことが求められます。また、サイバーセキュリティについて積極的なエンゲージメント(対話)を実施することも、投資先企業がサイバー攻撃への脅威を最小化するための重要な手段となり得ます。

サステナブルな未来の構築

気候変動、格差、サイバーセキュリティは、現在、世界を急速に変えつつある数多くのメガトレンドの中から3つの例を取り上げたに過ぎません。世界経済フォーラムが2018年に指摘したメガトレンドには、人口動態、都市化の暗黒面、政治の二極化なども含まれていました。

現在そして将来の世代のためにサステナブル(持続可能)な未来を守ることは、世界中の政府、企業、投資家の共同責任と言えます。こうしたメガトレンドは、サステナビリティがもはや単なる個別の投資テーマではなく多面的な事象であり、一部の産業やセクター、特定の地域のみに限定されるものではないことを示しています。

1「Unhedgeable risk: How climate change sentiment impacts investment(ヘッジ不能のリスク:気候変動のセンチメントが投資にもたらす影響)」(CISL、2015年)
2 UNIPCC特別報告書、2018年 http://www.ipcc.ch/report/sr15/
3 IMF財政モニタ-: 貧富の差の問題 ― 財政政策にできること、 2017年10月
4 世界不平等レポート2018

当記事は、「Big Book of SI(サステナビリティ投資のビッグブック)」の中の章の1つを要約したものです。

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