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ファクター戦略による投資目標達成:コスト削減

ファクター戦略による投資目標達成:コスト削減

05-11-2018 | インサイト

ファクターに基づく戦略は、運用コスト削減につながります。投資家が様々な目標を達成する上でファクターがどのように役立つのかを、シリーズで取り上げます。

要点

  • アクティブ運用のアルファの大半はファクターに起因します。
  • 体系的にファクターを追求することがコスト削減につながります。
  • 一般的なファクターを活用した低コストのソリューションは、深刻な懸念事項を伴う場合があります。

背景

ここ20年ほどの間で金融業界に見られる主なトレンドの1つに、伝統的なアクティブ投資戦略からパッシブ投資への大幅なシフトが挙げられます。顧客の間でのコスト意識の高まりや、上場投資信託(ETF)等パッシブな指数連動型商品の急速な拡大をはじめとする相次ぐ商品革新の波が、主な要因として挙げられます。投資家は従前よりかなり低コストで、容易に市場へのエクスポージャーを得られるようになっているのです。

しかし、パッシブ戦略には紛れもない利点があるものの、理想からはかけ離れていると言えます。時価総額加重型インデックスにパッシブに追随することは、ポートフォリオ分散を達成するための、シンプルで透明性が高くコスト効率のいい方法かもしれませんが、同時に、個別の銘柄について特に意識しないままに購入していることになります。さらに、手数料や取引コストを考慮すれば、パッシブ戦略は市場インデックスよりも必然的に劣後することになります。

こうした状況を背景に、多くの投資家は、純粋なパッシブ戦略よりも優れた投資成果を、伝統的なアクティブ運用よりも低コストで達成することを目指し、ファクターに基づく投資戦略など、体系的なアクティブ投資アプローチへと目を向けるようになりました。実際、FTSEラッセルによるアセットオーナーを対象とした直近の調査では、コスト削減が、ファクターに基づく投資戦略を検討するきっかけとなった投資目標の第4位に入りました。

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科学的根拠

ノルウェーの石油基金とファクター投資に関する、影響力の大きな2009年発表のレポート1では、同基金のアクティブ運用における付加価値の大半は真の運用スキルを反映したものではないことが明らかとなりました。むしろ、多数のシステマティック・ファクターに対する潜在的なエクスポージャーによって説明がつきます。そして、これらのシステマティック・ファクターは、伝統的なアクティブ運用よりも低コストで再現可能なのです。

同時に、ロベコのリサーチ2やアクティブ・ファクター戦略における実際の運用経験から、十分に確立されたファクターを追求する方が、パッシブ戦略よりも価値を生み出すことが明らかとなっています。これらのファクターへのエクスポージャーを効率的に狙えば、運用手数料、税、取引コストや投資制限を差し引いても付加価値を得ることができます。

ファクター投資とは、市場全般と比較して優れたリスク調整後リターンを創出するために、実証されたファクタープレミアムをルールに基づく手法で捉えることなのです。より優れたパフォーマンスを獲得するための、この体系的なアプローチは、一般的に、伝統的なアクティブ運用より低コストで達成することができます。そのため、図表1に示すとおり、多くの投資家が、ファクター投資をパッシブとアクティブの中間に位置する第3の投資戦略とみなしています。

図表1:ファクター投資は第3の投資手法

出所:“Foundations of Factor investing”、MSCIリサーチ・インサイト、2013年12月

パッシブ投資と同様、ファクター投資は透明性が高く、ルールに基づいた、比較的コストの低い投資手法です。しかしながら、上の図が示すように、アクティブ投資と同様にアクティブリターンをもたらします。そのため、機関投資家、個人投資家を問わず多くの投資家が、長期にわたって一貫したアルファを、伝統的なアクティブ戦略よりも低コストで達成するために、実際にポートフォリオにおける第3の手法として採用しています。

その他の検討事項

コストの抑制は優先事項であるべきですが、一般的なファクターに基づく、一見安価な商品を選ぶのは、必ずしも最良の選択とは言えません。こうした商品の多くは、人気を博すスマートベータ指数をベースとします。コストは高めながらより洗練されたアクティブ・ファクター戦略と比較すると、それらの商品はファクタープレミアムの潜在性を最大限に活かしておらず、投資家を脅かし得る多くの落とし穴を内包しています。

例えば、ロベコの定量株式リサーチ責任者のDavid Blitzは、2016年の論文3の中で、人気のスマートベータ戦略がもたらすファクターへのエクスポージャーはまちまちであり、また単独のファクターにどの程度フォーカスしているかの水準も大きく異なることを示しています。スマートベータ指数は、ファクターへのエクスポージャー水準に即したパフォーマンスを示しますが、ファクタープレミアムがもたらす潜在性を最大限に引き出せてはいないようです。さらに、こうした一般的な商品は、通常、透明性が確保された指数に追随しますが、これは手法や今後の取引が分かりやすく、裁定取引の影響を受けやすい傾向があります。指数がシンプルで透明性が高いほど、ヘッジファンドなど他の投資家も、執行される取引を予め察知してうまく乗じることができます。その結果、こうした指数に連動する商品に投資することは、隠れた高額なコストを招くことになるのです。

ロベコが最近行ったリサーチ4では、この裁定取引が実際に起こっていることを強く実証する証拠が示されました。このリサーチ結果は、多くの市場参加者がファクターに基づく公開指数における今後の取引を先回りしており、ETFやインデックスファンド等を通じてこれら指数に投資する投資家がその犠牲になっていることを示唆しています。

1 A. Ang, W. Goetzmann and S. Schaefer 「Evaluation of Active Management of the Norwegian Government Pension Fund – Global(ノルウェー政府年金基金 グローバル株式のアクティブ運用における評価」 ノルウェー財務省の要請により策定、2009年
2 E. Van Gelderen and J. Huij 「Academic Knowledge Dissemination in the Mutual Fund Industry: Can Mutual Funds Successfully Adopt Factor Investing Strategies?(ミューチュアルファンド業界における学術知識の普及:ミューチュアルファンドはファクター投資戦略の導入に成功することができるか」 The Journal of Portfolio Management、2014年
3 D.Blitz, 「Factor Investing with Smart Beta Indices(スマートベータ指数によるファクター投資)」 ロベコ論文、2016年
4 J. Huij and G. Kyosev 「Price Response to Factor Index Additions and Deletions(ファクター指数の銘柄入れ替えによる価格反応)」 ロベコ論文、2016年

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

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