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ファクター戦略による投資目標達成:より効果的な分散

ファクター戦略による投資目標達成:より効果的な分散

12-07-2019 | インサイト

ファクターに基づく戦略は、より効果的に分散されたポートフォリオの構築に役立ちます。投資家が様々な目標を達成する上でファクターがどのように役立つかを、シリーズで取り上げます。

要点

  • 幅広い資産クラスへの分散に対し疑問が呈されています。
  • ファクターというレンズを通して見ることで、新鮮な視点を得ることができます。
  • ファクターを活用するアプローチにおいても、集中リスクを避けることがカギとなります。

背景

分散はしばしば、投資家が無償で手に入れられる唯一のものと言われます。そして、過去何百年にもわたってアセットオーナーはこの原理を適用し、保有資産を複数の異なる資産クラスに分割して保有してきました。しかしながら、2000年代の市場の混乱期、特にグローバル金融危機の最中には、資産クラス間の相関が劇的に高まりました。これをきっかけに、人々は従来の分散投資の効果に疑問を持ち始めました。

今日金融業界で議論されているトピックの1つとして、ポートフォリオの選択や構築を行う際、クオンツ運用アプローチの方が従来の方法よりも効果的ではないか、というものがあります。とりわけ、分散という観点からの議論です。例えば、2009年に発表された、ノルウェーの石油基金とファクター投資に関する、影響力の大きなレポート1によれば、同基金のアクティブ・リターンは、一見分散されているように見えながら、市場(システマティック)リスクに対して大きなエクスポージャーを有していたことが明らかとなりました。ボトムアップによる投資判断がその主な原因でした。

より効果的な分散手法を求める動きの中で、多くの投資家がファクター投資に注目し始めました。事実、FTSEラッセルがアセットオーナーを対象に先頃行った調査によると、分散効果の向上は、ファクターに基づく投資戦略を検討するきっかけとなった投資目標の第3位に入っています。

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科学的根拠

従来の資産配分が往々にして科学的根拠に欠けるのとは対照的に、ファクターへの配分は、何十年にもわたる確固とした実証的分析をその根拠としています。この研究では、金融市場全般に見られる、有意で、持続的で、比較的相関の低い、多くのリスク・リターンのパターンが文書化されています。投資家はこれらのパターンを利用して、様々なリスク・リターン特性を持った証券を選択し、 より効果的な分散を達成することができます。

Antti Ilmanen氏 とJared Kizer氏による2012年の論文2では、1927年まで遡って数々の資産クラスの市場データ分析を行いました。その結果、様々なファクターに幅広く分散する方が、伝統的な資産クラスベースのアプローチより、ポートフォリオのボラティリティや市場の方向性を軽減する点においてはるかに高い効果を示すことが明らかとなりました。この2人の研究者は、空売りと借入れを伴うロング・ショート投資で分散効果が最も大きくなると認識しつつも、ロングオンリーの戦略でも、有意な効果をもたらすことを発見しました。

より最近では、当初ロベコのために実施された調査レポート3の中で、ティルブルフ大学のKees Koedijk氏、Alfred Slager氏およびアムステルダム自由大学のPhilip Stork氏も、資産に基づくアプローチに代わりファクターに基づくアプローチを用いることで、どの程度分散効果が達成できるかを検証しています。彼らは、ファクターの分散は大きなメリットをもたらすとしています。例えばバリューとモメンタムなど、ファクター間の相関は、投資カテゴリー間の相関に比べ、はるかに低いからです。

ファクター投資の分散メリットは、ロベコのマルチファクター株式戦略の長年にわたる運用実績によっても裏付けられています。図表1 は、1988年から2015年までの期間の運用実績のシミュレーションを示しています。また、ロベコのクオンツ株式戦略が対象としている4つのファクター(バリュー、モメンタム、低ボラティリティ、およびクオリティ)のうち、各年において超過収益に貢献したのがどのファクターかも示しています。

図表 1: バランスが取れ、安定的にベンチマークを上回る運用実績

出所: ロベコ、 MSCI  超過収益は、1988年6月から2015年12月までの期間について、MSCIワールド指数に対して測定。リターンは米ドルベース。ロベコのファクター戦略はポートフォリオ・シミュレーションをベースとしており、75bpの取引コスト控除後の数値。マルチファクター・ポートフォリオのファクター比重は、バリュー25%、モメンタム25%、低ボラティリティ25%、クオリティ25%。 棒グラフは、各ファクター戦略が各年においてプラスの超過収益を創出したか否かを示す。実際の投資の価値は変動します。過去のリターンは、将来のリターンを保証するものではありません。

最終的に、市場全体(グレー部分)よりもバランスが取れ、安定的にベンチマークを上回る運用実績を示しており、4年のうちの3年で少なくとも3つのファクターがプラスに貢献する結果となっています。

その他の検討事項

分散確保のためにはファクターへのエクスポージャーの最適化を重視すべきですが、その一方、幅広く様々な種類の証券に投資することのメリットも忘れてはなりません。ロベコの社内調査によれば、何の制約も課されていないポートフォリオに業種配分の制約を加えることで、少なくとも一定のレベルまでは、リターンには大きな影響なく集中リスクを軽減できることが分かっています。しかし、ある時点を過ぎると、集中を制限することによる運用実績へのマイナス影響が表れ始めます。

これは、集中には最適な水準が存在すること、そしてその事実を投資家は考慮すべきであることを示しています。したがって、効率的なファクター戦略を実現するには、最適なファクター・エクスポージャーを見極めるだけではなく、意図しない地理的バイアスやセクター・バイアス、単一銘柄や金融市場の一部セグメントへの過度な集中を回避することも必要なのです。これを担保する1つの方法は、厳格で、かつ現実に適用可能な集中ルールを確立することです。そうすることによって、業種や国への偏重を回避しながら、様々な株式や債券への投資が行えるからです。

1 A. Ang, W. Goetzmann and S. Schaefer、「Evaluation of Active Management of the Norwegian Government Pension Fund – Global(ノルウェー政府年金基金 グローバル株式のアクティブ運用における評価)」 ノルウェー財務省の要請により策定、2019年
2 A. Ilmanen and J. Kizer、「The Death of Diversification Has Been Greatly Exaggerated(分散投資の死は過度に誇張されている)」、The Journal of Portfolio Management、2012年春
3 K. Koedijk, A. Slager and P. Stork、「Investing in Systematic Factor Premiums(システマティック・ファクタープレミアムへの投資)」、 European Financial Management、2016年

ファクター戦略による投資目標達成

当記事シリーズは、ファクターに基づく運用戦略を通じて達成可能となる、様々な投資目標について解説するものです。

シリーズの全記事をご覧ください:

ファクター戦略による投資目標達成:リスク削減 ファクター戦略による投資目標達成:リターン向上 ファクター戦略による投資目標達成:より効果的な分散 ファクター戦略による投資目標達成:コスト削減 Achieving your investment goals with factors: get specific factor exposure

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