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事実か虚構か:サステナビリティ投資は社会への明確なインパクトはない?

事実か虚構か:サステナビリティ投資は社会への明確なインパクトはない?

21-08-2018 | インサイト

サステナビリティ投資は、注目を浴びる資産運用手法となってきています。しかし、実際のところ、投資家以外にも利益をもたらしているのでしょうか。広く一般社会にどのようなプラスのインパクトがあるのかを示すのは、時に難しい場合があります。負担を伴うとみなされている場合は特に困難です。

  • Masja Zandbergen
    Masja
    Zandbergen
    Head of ESG integration
  • Guido Moret
    Guido
    Moret
    Active Ownership Specialist

要点

  • 持続可能な開発目標(SDGs)が、インパクトをもたらす投資の手法を示しています。
  • 議決権行使とエンゲージメントは、企業行動の改善につながります。
  • ESG統合は、リターン向上と共にESG水準を上げることを目指すものです。

環境保護を目指すイニシアティブが必ずしも意図した通りの結果に結び付かないことは、2011年の福島での原発事故災害を受けた、ドイツによる脱原発政策決定の事例を見れば明らかです。この決定は本質的には意義があるものの、同国の石炭火力発電所への依存が大きくなるという副作用を伴いました。これは、二酸化炭素削減を目指すドイツのenergiewende(エネルギー転換)プログラムと矛盾するもので、むしろ排出量を増やす結果となりました。

そのため、ある一部分に焦点を当てるのではなく、システム全体に対する全てのメリット(あるいはデメリット)を測るための、より包括的なアプローチが必要とされています。測定可能な形でインパクトをもたらす方法の1つは、国連の持続可能な開発目標(SDGs、世界の生活水準を改善するための17の目標)に即した投資を行うことです。これに賛同しない人はいないでしょう。では実践するにはどうすればよいのでしょうか。

サステナビリティ投資に関する9つの新たな考え方

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サステナビリティへの3つのステップ

ファンダメンタル運用のポートフォリオ構築において、SDGsへの目に見えるインパクトを生み出すには、まず適切な銘柄の選定が必要です。ロベコとロベコSAMでは、これを3つのステップに分けて行います。第一に、企業が生産する製品を見定め、その製品がSDGsに対してプラスに寄与するのか、マイナスに寄与するのかを判断します。プラスの貢献とは、たとえば医薬品の製造、清浄水の供給支援、ヘルスケアの増進などです。マイナスの事例は、シェールガスやたばこ関連企業、炭素ガス排出量の多い公益企業などです。

次に、企業がどのようにして商品やサービスを生み出すかを分析します。ここでは、これまでの企業行動、労使関係の記録、人権に関する危険信号などを確認します。最後に、その企業について、環境汚染や汚職疑惑、例えば金融サービスや薬品業界における不当販売など、大事になりかねない問題が既に明らかとなっていないかチェックします。その結果は、ロベコSAM独自のリサーチツールであるSDGレーティング手法によって数値化されます。

このレーティング手法は、セクターを問わず使用できます。たとえば、新興国市場での貸し出しが多いリテール銀行はSDG目標1(貧困をなくそう)に貢献することから、高スコアが付与されます。また、より健康的な食品や糖分の少ない商品が全商品レンジの半分以上を占める食品会社は、SDG目標2(飢餓をゼロに)に貢献することから、同様に高スコアが付きます。ほとんどの企業でSDG目標の中から貢献できる事例を見つけることが可能です。もっとも、たばこメーカーや武器製造企業など、貢献が不可能な企業については、最初から明確に排除されます。

アクティブ・オーナーシップの活用

インパクトを与えるもう1つの方法として「アクティブ・オーナーシップ」があります。ESGのベストプラクティスを満たさない行動をとる企業に対し、議決権行使やエンゲージメント(積極的な対話、関与)を通じて改善を促すことです。

企業の方針に同意できない株主は、年次株主総会で反対票を投じたり、賛同できない議案の決議を阻止することもできます。この方法は、2017年、投資家がオイルメジャー2社に対し、気候変動の目標達成という要請がビジネスに与える影響を測るストレステストの実施を、株主総会で提案した時には、大変大きな効果を発揮しました。

その議案は大多数の賛成によって可決され、両石油会社は、地球温暖化を摂氏2度未満に留める影響を詳細に説明することを余儀なくされました。そこには、今後大きな負担に発展しかねない座礁資産の問題も含まれます。座礁資産とは目標達成のため利用できずに残る化石燃料資源のことです。気候変動は地球上の全人類が影響を受ける問題であり、それを最小限に留めるために石油会社が果たす役割の社会的意義は明白です。

サステナビリティ投資の真実:“事実”か“虚構”か

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エンゲージメントの手法

積極的な対話によるエンゲージメントはもう1つの強力な手段です。これは、ESGのいずれかの分野において改善を促すため、投資家が企業と面談することを通じて行われます。ロベコは常に株式や債券の保有先へのエンゲージメントを行っており、2017年には約200社と対話しました。年末時点で、エンゲージメント対象となっている資産は2,400億ユーロ超、また議決権行使の対象となった資産は600億ユーロを超えています。

2017年、コーポレートガバナンスを専門とする3人の学者が、株主によるエンゲージメントの効果の有無に関する論文を発表しました。660社を対象にした様々なESG課題に関するエンゲージメント・ケース計847件について、データが分析されています1

その結論は明快でした。「エンゲージメントはESG評価の大きな修正につながります。従前よりESG実績が良好で、株主の集中度が低く、低成長の企業において、積極的なエンゲージメント活動が成功しやすい傾向が見られました。エンゲージメントが成功すれば、収益性を変えることなく売上成長にプラスの効果をもたらします。対象企業の株価はエンゲージメント終了後6ヵ月で、対象外企業を2.7%アウトパフォームし、(事前の)ESGスコアが最も低かった下位4分位の企業は、1年後には7.5%の超過リターンを上げました。」この調査で、エンゲージメントが実際に経済的な効果を生み出し、財務的にも社会的にもインパクトをもたらすことがわかりました。

そして、投資家は、社会にどのような影響を与えているのか大いに気にかけています。メディアグループの「Responsible Investor」による2015年の調査では、アセットオーナーの4分の3は、運用機関選定においてESG課題を選定条件上位5つの中に挙げていることが明らかになりました。約85%が運用機関のサステナビリティ投資の方針を見直し、80%以上が、自社の投資が社会に与えるポジティブなインパクトを理解し向上させたいと考えています。2

1Tamas Barko, Martijn Cremers and Luc Renneboog, 「Shareholder Engagement on Environmental, Social, and Governance Performance(環境・社会・ガバナンスのパフォーマンスに対する株主のエンゲージメント)」、European Corporate Governance Instituteへの報告書、2017年
2 ESG 2.0, Responsible Investor Asset Owner Survey(Responsible Investorアセットオーナー調査)2015年

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