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ファクター戦略による投資目標達成:リスク削減

ファクター戦略による投資目標達成:リスク削減

21-01-2019 | インサイト

ファクターに基づく戦略は、潜在的なダウンサイド・リスクの軽減につながります。投資家が特定の目標を達成する上でファクターがどのように役立つかを、シリーズで取り上げます。

要点

  • リスク削減は主要な投資テーマとなっています。
  • これを達成する方法の1つとして、低ボラティリティ戦略の適用が挙げられます。
  • 低ボラティリティ戦略の中にも優劣があり、他よりも優れた戦略もあります。

背景

近年、リスク削減は多くの投資家にとって最優先事項となっています。2000年代に市場の動揺が連続的に起こったことを受け、長期的なアウトパフォーマンスと富の蓄積を確保するため、下落相場において資金を保全する必要性の認識が高まりました。こうしたリスク削減を達成するため、多くの投資家が低ボラティリティ商品に目を向けるようになりました。

実質的に知られるようになってから10年も経っていない低ボラティリティ投資ですが、今や一般的な投資アプローチとなっています。実際、2017年にFTSEラッセルがアセットオーナーを対象に実施した調査では、下振れリスクの削減が、ファクターに基づく投資戦略を検討するきっかけとなった投資目標の第1位に入りました。

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科学的根拠

低ボラティリティ・ファクターとは、市場全般と比較して相対的に安定したリターンを創出する銘柄が、長期的にはより優れたリスク調整後リターンを達成するという実証された事実を指します(図表1参照)。その結果として、低リスク株式に投資することが、長期的にはより高いシャープレシオにつながるという傾向が見られます。

上記の効果は、1970年代前半に資本資産価格モデル(CAPM)の検証を試みた複数の学者らによって、初めて文献として発表されました1。例えば、Robert HaugenとJames Heinsは、米国市場の長期的な研究を行い、1929年から1971年の期間に米国の低ベータ銘柄のパフォーマンスが、CAPMによる予測に反して高ベータ銘柄を上回ったことを明らかにしました。しかしながら、こうした発見は、投資の世界において数十年間にわたり無視されてきました。

図表1:米国の低/高ボラティリティ銘柄の累積パフォーマンス(1929~2014年)*

その後の研究により、他の株式市場においてもこの「低ベータ効果」が確認され、またロベコのリサーチ担当者2も同様の効果、すなわち、低ボラティリティ銘柄はより優れたリスク調整後リターンを創出することを取り上げた研究論文を発行しました。さらなる学術研究により、こうしたボラティリティ効果は欧州、日本および新興国の株式市場において強まっていることが明らかになりました。

このアノマリーについて、またこれが将来にわたって存続し得る理由について説明するために、学者らは多くの根拠を提示しています。その中でも最も頻繁に挙げられる説明は、低リスク銘柄に集中することが高いトラッキング・エラーにつながるという事実です。この説明は、受託した顧客資産の運用において時価総額加重型インデックスからの乖離に厳格な上限を課されているポートフォリオ・マネジャーにとっては魅力的なものではありません。もう1つ頻繁になされる説明としては、個人投資家が、ニュース報道により注目を浴び目を惹きがちな銘柄を好んで、「宝くじ」のような感覚で株式を購入していることが挙げられます。

その他の検討事項

いくつかのアクティブ運用会社による低リスク戦略の成功を経て、多くのインデックス・プロバイダーやパッシブ運用会社も、低ボラティリティ指数や上場投資信託(ETF)を導入することにより、これに続こうとしています。最小ボラティリティ、マネージド・ボラティリティ、最小分散等、これらの商品を表わすのに様々な用語が用いられています。結局のところ、これらのアプローチは全て、何らかの形で低ボラティリティ・アノマリーを利用しようというものです。

しかし、すべての低ボラティリティ戦略が似通っているわけではなく、他の戦略よりもより効率的にファクターを捉えることが実証された運用戦略もあります。例えば、多くの一般的な低ボラティリティ戦略は、ボラティリティやベータ値のような、過去のリスクの測定のみに基づいています。このような構造の運用戦略では、ダウンサイド・リスクの測定ミス等の落とし穴にさらされる危険性があります。

一般的な低ボラティリティ戦略が陥りやすい落とし穴のもう1つは、バリュエーションや価格モメンタムといった側面を考慮しない点です。実際、過去のボラティリティやベータ値のみに基づき銘柄を購入すると、割高な銘柄や好ましくない価格動向によって不利益を被っている銘柄を買うことにつながりかねず、パフォーマンスの妨げとなり得ます。

1 F. Black, M. Jensen and M. Scholes(1972年)、「The Capital Asset Pricing Model: Some Empirical Tests(資本資産価格モデル:実証テスト)」、Studies in the Theory of Capital Markets(資本市場理論の研究)。E. Fama and J. MacBeth(1973年)、 「Risk, Return, and Equilibrium: Empirical Tests(リスク、リターンおよび均衡点:実証テスト)」、Journal of Political Economy。 R. Haugen, and J. Heins(1975年)、「Risk and the Rate of Return on Financial Assets: Some Old Wine in New Bottles(金融資産のリスクと収益率:新しいボトルの中の古いワイン)」、Journal of Financial and Quantitative Analysis。
2 D. Blitz and P. van Vliet(2007年)、「The Volatility Effect: Lower Risk Without Lower Return(ボラティリティ効果:低リターンを伴わない低リスク)」、Journal of Portfolio Management、pp. 102-113。エメラルド出版社サイテーション・オブ・エクセレンス賞受賞(2008年)。

ファクター戦略による投資目標達成

当記事シリーズは、ファクターに基づく運用戦略を通じて達成可能となる、様々な投資目標について解説するものです。

シリーズの全記事をご覧ください:

ファクター戦略による投資目標達成:リスク削減 Achieving your investment goals with factors: Enhance returns Achieving your investment goals with factors: Improve diversification ファクター戦略による投資目標達成:コスト削減 Achieving your investment goals with factors: get specific factor exposure

重要事項

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