スチュワードシップ・コードの導入で、アジアのサステナビリティ投資が加速

スチュワードシップ・コードの導入で、アジアのサステナビリティ投資が加速

25-01-2017 | インサイト

アジアはこれまでサステナビリティ投資の分野で遅れを取ってきましたが、その遅れを急速に取り戻しつつあります。スチュワードシップ・コードの導入が迅速に進んでいます。ロベコは、日本、台湾、香港のスチュワードシップ・コード受け入れを表明しています。

  • Michiel  van Esch
    Michiel
    van Esch
    Specialist Governance and Active Ownership
  • Ronnie Lim
    Ronnie
    Lim
    Senior Investment Specialist at Robeco Hong Kong

要旨

  • アジアでサステナビリティ投資が浸透しつつあります。
  • 各国で新たにスチュワードシップ・コードの導入が進んでいます。
  • スチュワードシップ・コードの導入を契機に、アジアでアクティブ・オーナーシップ活動が活発化しています。

サステナビリティ投資を推進する国際的なイニシアチブであるグローバル・サステナブル・インベストメント・アライアンスが公表している最新(2014年)の数字によると、アジアで運用されている資産総額におけるサステナビリティ投資の割合は、未だ1%に満たないことが分かっています(サステナビリティ投資の先進国である欧州ではおよそ59%)。ロベコのエンゲージメント・スペシャリストであるMichiel van Eschは、アジアのサステナビリティ投資の割合は今後急増すると予想し、次のように述べています。「アジアでは、より多くの企業が、投資家の資金を惹きつけ長期的に成長していくにはビジネスにおけるサステナビリティを考慮することが必要だと気づき始めました。アジアの企業は、欧州や北米の競合相手が、環境、社会、ガバナンス(ESG)要因を事業モデルに組み入れ、リスクを管理し、顧客ニーズに対応していることを認識し始めています。」

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アジアにおけるコーポレート・ガバナンスの重要性

より多くの顧客がサステナビリティの統合を求めるようになってきており、サステナビリティ投資に取り組む年金基金の数も増えています。その結果、アジアでは、サステナビリティ投資が急速に広まりつつあります。アジアにおけるエンゲージメント・スペシャリストであるRonnie Limは次のように述べています。「アジアでは、コーポレート・ガバナンスが非常に重要な要素となっています。海外の投資家や現地の規制当局が、投資先企業に対して、国際水準と同等のガバナンスを求めるようになっているからです。優れたコーポレート・ガバナンスを実現するには、有効に機能する取締役会、長期志向で企業の経営陣に積極的に関与する株主、高い透明性、企業のステークホルダーとの充実したコミュニケーション等、様々な要素が求められます。」

「アジアにも質の高い企業は数多く存在するものの、経営面では改善の余地があるとの認識が高まっています。企業はもっとイノベーションを推進し、財務報告を改善し、資本規律を厳格化することができるはずであり、そうすることにより、最終的には資本市場における企業のバリュエーションが高まることにつながるでしょう。すなわち、投資家側にも、企業価値の向上に貢献することにより、年金基金や社会全般の利益に資することが期待されているのです。」

創業者一族が経営する企業や国有企業等、事業目的が少数株主の利害と必ずしも一致しない企業も数多く存在します。Limによれば、「同時に、投資家の間ではアクティビズムも活発化しています。アジアでは、株主は浮動株のごく一部のみ保有していることが多く、企業のコーポレート・ガバナンスの質を向上させるためには、投資家が連携することが有効な手段になり得ます。」

日本とマレーシアに次いで、台湾、香港、韓国、そしてシンガポールでも、現在スチュワードシップ・コードの策定、導入が進んでいます。シンガポールでは、自主規制としてのスチュワードシップ原則が昨年11月に導入され、既に38の運用会社や企業が受け入れを表明しています。

スチュワードシップ・コードとは?

スチュワードシップとは、機関投資家が受益者に代わる責任を担い、投資先企業に対して積極的な働きかけを行うことです。Van Eschによれば、「ロベコは、スチュワードシップに関する方針、積極的な議決権行使や対話(エンゲージメント)、投資除外方針などを整備し、スチュワードシップの概念を実践しています。スチュワードシップ・コードが新たに導入されれば、通常その原則を順守します。ロベコは、英国のスチュワードシップ・コード、オランダの機関投資家団体Eumedionによるエンゲージメントを行う株主のためのベストプラクティス、香港の責任あるオーナーシップ原則、日本版スチュワードシップ・コード、そして台湾の機関投資家のためのスチュワードシップ原則など、多様なスチュワードシップ・コードを遵守しています。」

スチュワードシップという概念は、いまや世界中で浸透の勢いが増しています。最初のスチュワードシップ・コードとなったのは、英国の財務報告評議会(FRC)が、金融危機発生時に機関投資家が担う役割への批判に応える形で2010年に発表したものです。今日までに、ロベコを含む300超の機関によって署名されています。Van Eschは以下のように語っています。「FRCによる署名機関に対する評価において、ロベコのスチュワードシップ方針は、最高評価であるティア1の評価を受けました。スチュワードシップへの取り組みの質の高さや透明性の高い説明、必要に応じて取るべき代替的取り組みの説明が高く評価された結果です。」

2014年に日本版スチュワードシップ・コードが導入されたことは、アジアにおける重要な一歩となりました。「ロベコは日本版スチュワードシップ・コードにも署名しています。日本は、ガバナンスの強化が、日本株式市場を海外投資家にとってより魅力的なものとするために不可欠であり、また長期的に持続可能な経済成長を実現するための重要な鍵になると見ています。」

日本に次いでマレーシアが2014年に機関投資家のためのコードを導入、これは新興国市場では南アフリカに次ぐ2番目の導入となりました。最近では、国際コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(ICGN)が、世界的なスチュワードシップ原則として、「ICGNグローバル・スチュワードシップ原則」を発表しました。

アクティブ・オーナーシップの促進

40億を超える人口と、世界でも最速ペースで成長する企業を擁するアジアは、世界的なサステナビリティ投資の推進において外すことのできない存在です。「スチュワードシップ・コードの導入を契機に、アジア全域において企業と投資家の間の議論の充実化、活発化が進むと予想しています。アジアでアクティブ・オーナーシップ(積極的株主行動)を推進する投資家がますます増えることを期待しています」とVan Eschは述べています。

ロベコにとってアジアは、戦略的に重要な地域です。ロベコは、2005年からアジア太平洋地域に拠点を置き、オーストラリア、中国、香港、日本、韓国、シンガポールに拠点を設立、当地域での事業を着実に拡大してきました。資産運用会社との対話を望む企業の増加に伴い、2016年にはVan Esch自身も香港と日本を度々訪問しています。また、Ronnie Limを新たにアジア企業担当のエンゲージメント・スペシャリストに任命し、アジアでのアクティブ・オーナーシップ活動をさらに活発化させています。

Van Eschは、次のように語りました。「アジアでは、先進国か新興国かに関わらず、顧客獲得においてサステナビリティ投資がこれまで以上に重要になってくるでしょう。我々は、スチュワードシップ・コードの普及を歓迎しています。これにより、投資先企業のガバナンスにおいて機関投資家が担う役割への認識が高まるからです。そうなれば、アジアにおけるアクティブ・オーナーシップ活動の勢いも増すでしょう。さらには、アジア企業に積極的にエンゲージメントを行う資産運用会社が増加するにつれ、エンゲージメントの協働の機会も増えることを望みます。これにより、より効果的な活動が可能になるでしょう。」

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