低リスク債券のクオリティ

低リスク債券のクオリティ

22-12-2016 | リサーチ

最近、学術の世界で新たに認知されるようになってきたファクター、それがクオリティです。社債のクオリティ投資は、純粋な低リスク投資の延長線上にあるとロベコは考えています。ロベコでは、全ての社債ファクター・モデルにおいて開発当初よりクオリティ・ファクターを活用しており、ここ数年間でその活用を広げてきました。

  • Frederik  Muskens
    Frederik
    Muskens
    Quantitative Researcher
  • Patrick  Houweling
    Patrick
    Houweling
    Executive Director, Researcher & Portfolio Manager Quantitative Credits
  • Mark  Whirdy
    Mark
    Whirdy
    Quantitative Credit Portfolio Manager & Researcher
  • Jeroen  van Zundert
    Jeroen
    van Zundert
    Researcher Quantitative Credits

要点:

  • クオリティ企業とは、安全で、収益性が高く、堅実な経営が行われている企業を指します。
  • 過去のデータから、クオリティ企業の債券のリスク調整後リターンが高いことが分かります。
  • クオリティ投資と低リスク投資の間には、定性的にも定量的にも類似性がみられます。

ファクター投資は、近年急速に認知度が高まっています。幅広く認知され、存在が実証されているファクターとして、低リスク、バリュー、モメンタム、規模が挙げられますが、最近では、これにクオリティが加わっています。クオリティの源泉の定義は他のファクターほど明確ではありません。ロベコでは、収益性と利益の質が高く、経営が堅実な企業をクオリティ企業と定義しています。

クオリティ・ポートフォリオが市場に対して超過収益を生むのはなぜか、と不思議に思う人もいるかもしれませんが、結局のところ、収益性とキャッシュフロー創出力が高く、堅実な経営が行われている企業を好まない投資家はいるでしょうか。学術研究では、この説明として、リスクの観点と行動の観点からの2つの理論が論じられてきました。その結果、リスクに基づく理論では説明がつかないとの結論に至っています。クオリティ・ポートフォリオは、ボラティリティが市場よりも低い上、市場下落時にアウトパフォームする傾向があるからです。したがって、行動に基づく説明の方がふさわしいということになります。投資家はクオリティの高い企業の株式や債券にある程度の価格まで投資する用意がある一方で、市場ではクオリティの高い企業の株式や債券がクオリティの低い企業に対し割安になっています。Bouchaud氏等 は2016年の論文で、「投資家は体系的に、クオリティを示すようなシグナルに含まれる情報を軽視する傾向にあり、1株あたり利益(EPS)のような指標を重視しすぎている(略)」と論じています。

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クオリティ企業で構成される社債ポートフォリオのシャープレシオは高水準

ロベコでは、1994年~2015年の期間を対象に、米ドル建て投資適格債市場と米ドル建てハイイールド社債市場のクオリティ・ファクターを調査しました。調査に当たり、各企業をQ1からQ5の5つの社債ポートフォリオに振り分けました。ポートフォリオQ1は上位20%(クオリティの最も高い企業)で構成され、20%ごとにQ2、Q3、Q4と続き、Q5は下位20%(クオリティの最も低い企業)となっています。保有期間を1年間として調査しました。各五分位のポートフォリオのリターンとボラティリティは図1に示されています。

図1 | 米ドル建て投資適格債とハイイールド社債の、クオリティ五分位ポートフォリオのリスク・リターン
出所:ロベコ、バークレイズ、ファクトセット サンプル期間は1994年1月~2015年12月

クオリティの最も高い企業(Q1)はクオリティの最も低い企業(Q5)よりも、リターンが高く、ボラティリティが低く、したがってシャープレシオもかなり高くなっていることが示されました。

クオリティ・ファクターは他のファクターに匹敵

次に、クオリティと、実証されている他のファクター(低リスク、バリュー、モメンタム、規模)を比較しました。図2では、すべてのファクターのシャープレシオが市場をアウトパフォームし、クオリティ・ファクターのシャープレシオが他のファクターのシャープレシオと同水準であることが示されています。

図2 | 米ドル建て投資適格債とハイイールド債の、市場、及びクオリティ、低リスク、バリュー、モメンタム、規模の各ファクターにおける上位五分位ポートフォリオのシャープレシオ
出所:ロベコ、バークレイズ、ファクトセット サンプル期間は1994年1月~2015年12月

クオリティ投資と低リスク投資の類似性-特性の比較

クオリティ投資と低リスク投資に類似性があることは直感的に明らかです。例えば、クオリティ投資は赤字企業を嫌いますし、収益性の低い企業のリスクがより高いことも明らかです。さらに、クオリティ投資は、積極的な設備投資よりも債務の償還を優先するような、堅実な経営が行われている企業を好みます。債務の削減によりデフォルトリスクも低下することは明らかです。

また、図3のとおり、低リスク・ポートフォリオのクオリティ特性を分析したところ、クオリティ投資と低リスク投資の直観的な類似性には実証的な証拠があることが分かりました。低リスクのポートフォリオ(Q1)は、収益性とキャッシュフロー創出力の高い企業が投資先となっていて、高リスクのポートフォリオ(Q5)は、収益性とキャッシュフロー創出力の低い企業が投資先となっています。

図3 | 米ドル建て投資適格債とハイイールド債の低リスク・ポートフォリオにおける収益性とキャッシュフローの平均
出所:ロベコ、バークレイズ、ファクトセット サンプル期間は1994年1月~2015年12月

クオリティ投資と低リスク投資の類似性-リターンの比較

次に、リターンを分析することによりクオリティ投資と低リスク投資の類似性を実証する証拠を示します。図1で既に明らかですが、クオリティ・ファクターのランキングが低いほど、実現収益のボラティリティは上昇しています。したがって、企業のクオリティは、その企業が発行する債券の将来のボラティリティを示すものだといえます。

また、クオリティと低リスクのQ1ポートフォリオの市場に対するアウトパフォーマンスを分析しました。統計的にみて、いずれのファクターも大幅なアルファを創出しています。さらに、両ファクターのベータ値がマイナスであり、両ファクターのアウトパフォーマンスは市場と逆相関の関係にあることが分かります。つまり、クオリティ・ポートフォリオと低リスク・ポートフォリオは共に弱気相場でアウトパフォームし、強気相場ではアンダーパフォームする傾向にあります。

最後に、クオリティと低リスク・ファクターの、互いに対するアウトパフォーマンスを回帰分析することで両ファクターを直接比較しました。その結果、ベータ値は約0.6と、統計的に高い値となりました。これは、クオリティと低リスクのファクターの類似性を裏付けるさらなる証拠です。ただし、ベータ値が1ではないことから、両ファクターが完全に一致しているわけではないことも強調しておきます。さらに、アルファは、投資適格債市場で0.21%、ハイイールド債市場で0.55%と、依然として高い水準にあります。つまり、クオリティは、低リスクへのエクスポージャーをコントロールした後でもアルファを創出することができるということです。

結論として、クオリティと低リスクはいずれも強力なファクターであるといえます。両ファクターは類似した特性を示しています。クオリティ投資は低リスク投資を上回る付加価値を生み出していますが、クオリティと低リスクの両ファクターが債券市場のリスクプレミアムを上回る付加価値を生み出している度合と比較すれば、統計的にそれほど強いものとはいえません。

ロベコのファクター戦略におけるクオリティと低リスク・ファクターの活用

クオリティ・ファクターと低リスク・ファクターは定量的にも定性的にも類似している点が多いため、ロベコはファクター・モデルにおいて両ファクターを一つのカテゴリーに統合しています。「低リスク」ファクターにはクオリティ要素が含まれていますが、現在、「低リスク」というカテゴリーで一つにくくっています。例えば、前述のとおり、ファクター戦略を設定して以来、(クオリティの安全性テーマに該当する)レバレッジは低リスク・ファクターの一つの要素とされています。近年、徐々に収益性など他のクオリティ要素も低リスク・ファクターに追加しています。ロベコのすべての定量マルチファクター・ランキング・モデルに、低リスク/クオリティのカテゴリーが組み込まれています。

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

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