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クレジット・アウトルック: TINA(他に選択肢はない)が支配する環境

クレジット・アウトルック: TINA(他に選択肢はない)が支配する環境

29-12-2020 | 四半期アウトルック
市場価格には最高のシナリオが織り込まれていますが、ネガティブ・サプライズが重なれば、市場環境はさらに弱気になるでしょう。
  • Victor  Verberk
    Victor
    Verberk
    CIO Fixed Income and Sustainability
  • Sander  Bus
    Sander
    Bus
    Co-head Credit team
  • James Stuttard
    James
    Stuttard
    Head of Global Macro team and Portfolio Manager

要点

  • 第2四半期以降、経済の幅広い分野に回復が広がる
  • しかし、相応のリターンを求める投資家にとって選択肢は非常に少ない
  • 市場価格には最高のシナリオが織り込まれているが、結果の振れ幅は大きい
Brexit(英国のEU離脱)関連のサプライズ要因を除いて、市場は主要なネガティブ・イベントを概ね消化しました。過去最短のクレジット・サイクルにおいて、新型コロナウイルスの感染拡大や米国大統領選挙などのイベントが発生するなかで、デフォルト率は一巡しました。現在、あらゆる資産クラスの市場価格について、結果の振れ幅は大きく広がっていますが、ティナ・ターナー(Tina Turner)の楽曲にもあるように、市場価格には「最高の(simply the best)」シナリオだけが織り込まれています。しかし現実的には、市場にはサプライズ要因が常に存在しています。
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市場はファンダメンタルズに先行

経済活動は過去70年間において最も速いペースで落ち込みました。スプレッドが大幅に拡大するなかで、米国ハイイールド債のデフォルト率は8%に達しましたが、財政、金融当局による連携のとれた一連の政策支援によって、速やかに回復軌道に乗ることになりました。ご案内のように、回復軌道に乗ったのは「市場」です。ロベコでは、前回の四半期アウトルック「市場はすでにワクチンを保有(‘Markets already have the vaccine’)」において指摘したように、市場はファンダメンタルズに先行して動いているとみています。

以前、「TINA(他に選択肢はない:there is no alternative)」というテーマを取り上げましたが、ティナ・ターナーは「(あなたは)最高(simply the best)」と歌っています。これは、ロベコの現在の市場価格に対する評価と一致します。実際、2021年に入っても、市場において合理的ながら低い水準のリターンを引き続き獲得できる可能性はありますが、そのためには、多くの要因が適切に調和しなければなりません。バリュエーションがすでに飽和状態にあることに加えて、斬新な政策支援の再現が期待できないからです。ご案内のように、経済活動と市場リターンの関連性が低いことを踏まえると、景気回復がさらに広がりを見せたからといって、強気になれるわけではありません。

総じて言えば、市場がファンダメンタルズに先行して動いていることについて懸念しています。新型コロナウイルスの動向や企業利益の回復など、ファンダメンタルズ面でのシナリオを細かく点検すると、最高のシナリオにおいても、2021年はリターンの小さい退屈な1年になるでしょう。金利動向、政策の失敗、企業破綻などにおいてネガティブ・サプライズが重なれば、市場環境はさらに弱気になるでしょう。

市場では、個別の状況において引き続きバリューが見受けられますが、大規模なベータ相場は終了し、個別銘柄の吟味や慎重姿勢の強化が必要な展開に逆戻りしています。

市場では新型コロナウイルス危機の影響は消化済みであると、容易に結論付けることは可能でしょう。企業クレジットのスプレッドは、2020年年初の水準から10bpの範囲に収まり、通常であればラリーの終着点の水準に近づいています。現時点からさらにラリーが継続するシナリオとして考えられるのは、恒久的な超過流動性の提供を通じた全面的な日本化くらいでしょう。テクニカル面での底堅さを踏まえると、その可能性も否定できませんが、基本シナリオとは言えません。

クレジットにとって、退屈もしくは下落基調の1年となる見通し

2020年は数多くの投資機会が到来した1年になりました。3月には市場全体の動きに基づく投資機会(ベータ)、6月には循環的な回復を背景とする投資機会、年後半に入ってからは新型コロナウイルス関連の個別セクターのテーマに基づく投資機会が見受けられます。この間、ロベコでは、お客様のポートフォリオにデフォルトやアクシデントの影響が及ぶことがないように、緻密なリサーチを実行しました。この取り組みは今回も成功し、ハイイールド・ポートフォリオのデフォルト率は市場全体を下回り、投資適格ポートフォリオでは1件のデフォルトも発生していません。

この先の運用環境は厳しくなる見込みです。経済情勢、テクニカルのいずれにおいても、結果の振れ幅は広がっています。退屈な1年となるか、下落基調の1年となる見通しです。スプレッドが大幅に縮小する余地は、ほとんど残されていません。キャリーやロールダウンに由来する収入のほか、収益機会は新型コロナウイルスからの回復が追い風となるセクターに限定されるでしょう。収益機会はある程度残されているとしても、決して大きなものではありません。政策の失敗、利回りの上昇、インフレの上昇を乗り切る余裕はなく、原油価格の激変や政治的、地政学的なショックを吸収する余地もありません。十分なクッションが存在しないということに尽きます。昨年のこの時期においても、同じような非対称性に直面していました。超過リターンの小さい退屈な1年になるか、何らかのイベント発生に起因する下落基調の1年になることでしょう。

ファンダメンタルズは改善傾向、慎重さは必要

ファンダメンタルズは明らかに改善傾向にあり、回復の流れも広がっています。バリュエーションの割高感は強まっていますが、テクニカルは引き続き良好です。

ロベコでは引き続き、ハイイールド市場に対して慎重な姿勢で臨んでいます。期待されるのは、せいぜい1桁のリターンでしょう。投資適格市場では、2018年以降で初めてトータルリターンがマイナスに転じる可能性があります。スプレッドの損益分岐点は非常に低い水準にあります。一方、新興国のクレジット市場に関しては、これまで非常に慎重な見方を続けてきたこともあり、1を超える水準までベータを小幅に引き上げる余地が存在すると考えています。

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