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クレジット・アウトルック:市場はすでにワクチンを保有

クレジット・アウトルック:市場はすでにワクチンを保有

09-10-2020 | インサイト
世界はわれわれが通常の生活に戻ることができるようなワクチンを待っています。しかし、市場は、すでにワクチンを受けています。
  • James Stuttard
    James
    Stuttard
    Head of Global Macro team and Portfolio Manager, Robeco
  • Sander  Bus
    Sander
    Bus
    Co-head Credit team
  • Victor  Verberk
    Victor
    Verberk
    CIO Fixed Income and Sustainability and Portfolio Manager of Robeco Global Credits

要点

  • 中央銀行はこれまで、悪材料に対して市場に免疫力を与えてきている
  • 市場は経済情報に無頓着となり、バリュエーションは割高
  • 上昇は一巡したが、ボラティリティが時には投資機会を提供

われわれは、今世紀最大の世界的な経済危機の真っただ中にあります。世界はわれわれが通常の生活に戻ることができるようなワクチンを待っています。しかし、市場は、民間セクターに対する前例のない金融・財政支援という形で、すでにワクチンを受けています。大きな疑問は、米国の大統領選挙までそのワクチンによる免疫が続くかどうか、また、抵抗力が英国のEU離脱交渉、地政学的緊張、そして最近の新型コロナウイルス感染再拡大に勝ち残るかどうかです。

図表1 | 市場サイクル:マーケット・セグメントに対するわれわれの見解のマッピング

出所:ロベコ、2020年9月

ファンダメンタルズは依然として重要なのか。これは、市場とファンダメンタルズの大きなギャップに鑑み問うべき論理的な問題です。

長期的には、ファンダメンタルズが依然として市場にとって重要であることは間違いありませんが、ここ数ヶ月間、中央銀行のプットは他のすべてを圧倒してきました。政府や中央銀行による迅速・果断な行動は、市場のシステミック・リスクを取り除くことで、当初の損失の大部分を回復するのに役立ちました。銀行危機やユーロ圏のソブリン危機のリスクは、銀行規制の緩和、ユーロ共同債の導入、国家支援のための規則の緩和、および当局によるいくつかの支援策により、現在、新型コロナウイルス流行前よりもおそらく低くなっています。

われわれは、上述の流れから、少なくともシニアの銀行及びユーロ圏のソブリン・スプレッドは政策のコントロール下にあり、劇的に拡大する可能性が低いことに安心感を持っています。同じことが、ECBの購入適格であり、保証付き融資、追加融資などの財政支援の恩恵を受けることができる質の高い社債についても当てはまります。

しかし、ファンダメンタルズが今でも重要な市場のいくつかのセグメントの1つに、より格付けの低いハイイールド市場が当てはまります。ここでは、長期にわたる需要低迷に耐えられない多くの脆弱な企業が見つかります。

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インフレの影響は限定的

われわれは、財政当局や中央銀行によって操作されたマネーサプライの大幅な増加によるインフレの影響は、少なくとも今後数年間はあまり見込んでいません。需要の混乱に起因するディスインフレ圧力が、強すぎるためです。高齢化や技術開発のような構造的な力も、インフレの加速を促がすものではありません。さらに、学術的な研究によれば、脱グローバリゼーションのインフレへの影響も過大評価されるべきではありません。

しかし、先行き数年間を展望した場合、インフレ上昇の可能性はもっと顕著になるように思われます。ただし、そのためには「より多くの貨幣がより少ない財を追いかけ始める」ことが必要で、マネーサプライの増加が持続され、最終的には個人と企業がはるかに大きな支出を行う必要があるでしょう。

インフレはおそらく「ケチャップ理論」のルールに従う形となると思われます。最初はボトルから何も出てきませんが、ボトルを振り続け、一旦、ケチャップが流れ始めると、想定以上の量が流れることになります。

衰えつつある景気回復のモメンタム

では、われわれは今どこにいるのでしょうか。当初のショック後、7-9月期のマクロ・データは、非常に厳しい予想と比較して、上振れするという驚きの結果となりました。これはリスク市場への追い風となりました。しかし、景気回復のモメンタムは明らかに衰えつつあり、ポジティブ・サプライズは終わりました。冬が北半球に近づくにつれ、すでにヨーロッパの多くの地域で感染者が増え、景気回復に打撃を与える局所的なロックダウンが起きています。

多くの企業にとって、景気後退は、バランスシートの悪化とマイナスのキャッシュフローを意味します。忘れてはならないことは新型コロナウイルスは、米国経済が過去最長を記録したのちに発生したことです。われわれはすでに、1年前のアウトルックにおいて景気後退の可能性を警告していましたが、新型コロナウイルスがきっかけとなることは想定していませんでした。

企業の信用状況は、すでにバランスシート拡大、債務によるM&A、不十分なドキュメンテーションなどの弱点が顕在化していました。民間部門への大量の政府介入と流動性注入は、サイクルを延長するのに役立ちましたが、われわれが適度(かつ健全)な弱気相場を経験する可能性は高いと考えています。弱気相場は家をきれいにするための最良の薬であり、ゾンビ企業を排除し、バランスシートを修繕し、ドキュメンテーションを強化します。そのプロセスが完了して初めて、クレジット市場は、複数年にわたる新たなブル・マーケットに備えることができるのです。

拡大するバリュエーション

市場全体については、バリュエーションが拡大していると判断します。スプレッドのレベルは、市場のすべてのセグメントにおいて、長期平均と同等かそれ以下です。スプレッドの縮小はテクニカルが強いことで説明できますが、現在のファンダメンタルズ環境を埋め合わせることはできません。

クオリティを調整すれば、市場はさらに割高に見えます。米国の投資適格市場におけるBBBのウェイトは、2008年の35%から今日では50%以上へと着実に上昇しており、これは過去最高の0.5%以内に収まっています。

ハイイールド債は、中央銀行のプットから間接的にしか恩恵を受けないため、ここからスプレッドが拡大することは容易です。FEDは個別のハイイールド銘柄の購入を2020年3月下旬までに投資適格であった企業に限定しており、該当する銘柄は合計でわずか8銘柄しかありません。

上昇は一巡

そして今、上昇は一巡したという見方ができます。ここからさらに大きなスプレッド縮小の可能性は低いと考えます。われわれは投資適格債のベータを1に下げます。ハイイールド債については、すでに1を下回っており、それを維持しています。

トップダウンの観点だけでなく、個々の発行体やセクターにおいても、今後数カ月の間にリスクを追加または削減する機会が存在すると確信しています。新型コロナウイルス関連セクターには依然として大きなボラティリティがあり、時にはそれが優れた投資機会を提供しています。

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