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ポジティブなシグナルに注意を払うべき時

ポジティブなシグナルに注意を払うべき時

19-03-2020 | インタビュー
ロベコの債券チームは徐々に新規投資モードに移行しています。そこで、投資部門副責任者のVictor Verberkに詳しい話を聞きました。
  • Erika van der Merwe
    Erika
    van der Merwe
    Investment writer

要点

  • 市場の急落は、何十年にもわたって蓄積されてきた大きな不均衡に根ざしています。
  • 幸いなことに、各国政府は財政面での措置をとる用意があります。
  • 市場の評価とテクニカル要因はプラスに転じています。

どうやってここまで来たのでしょうか。

「何がこのような状況に導いたのかを理解するには、ここ数十年間の長期的傾向を振り返る必要があります。過去20年から30年の間に、世界経済にはいくつかの大きな不均衡が生じました。個人的な見解では、これらは中央銀行が景気後退を回避、或いは緩やかなものにするために非常に積極的であったことに原因があると考えます。グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)元議長の時代からすでに、経済が減速するやいなや、FRB は利下げを行ってきました。それにより、私たちは債務のスーパーサイクルを作ったのです。

「これは、弊社の過去10年間のクレジット・クォータリー・アウトルックの共通したテーマでした。企業、家計、国のすべてが借り入れを行い、過度に積極的な利下げが金利を押し下げたことで、債務のスーパーサイクルを加速させることになったのです。」 

「次にキャリートレードが第二の現象として始まりました。つまり、低金利環境下にある円やユーロ圏の投資家が、高利回りで高成長の資産に投資し始めたのです。実際に起こったことはもっと複雑ですが、要約すると、最終的に市場参加者は米国資産を買い、それにより米国企業は自社株買いの資金を容易に調達することができるようになりました。しかしこうしたことは、S&PのPERが30倍という状況に達した昨年までのことでした。」

「借入により設備投資を行い創造的で革新的になることよりも、金融資産へ投資することの方がより有益になりました。その結果、現在、GDPに対する投資比率は、第二次世界大戦以来、最低の水準となりました。」

「われわれは、低水準の投資、少ない企業破綻、創造的破壊のない、巨大な債務のスーパーサイクルに陥っていることを意味します。」

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以上がこれまでの長い歴史ですが、それによって、現在の状況はどのように変わったのでしょうか。

「この景気循環に対して、患者に与えられる薬の比喩を使用したいと思います。医者であればある薬が効かなかったら、別の手段を考えるでしょう。しかし、中央銀行のアプローチではこうしたことはありませんでした。中央銀行は単に薬の量を増加させただけであり、その結果、金利のより大幅な抑制とQEが生じました。」

「金利抑制、QE、株式買い戻しによって加速された経済は大きなリスクを伴う可能性があります。同社のハイイールド債券のポートフォリオ・マネジャーは『予期せぬ事態を常に予期する』ことが重要と考えています。リスクを引き起こすのは、戦争、不況、或いはウィルスかもしれません。今回の場合、それは新型コロナウイルスでした。重要なのは、今回の市場下落はウイルスだけの問題ではないということです。ここまでに述べた大きな不均衡が原因です。例えばアメリカはGDPとほぼ同水準のマイナスの純投資ポジションを持っています。つまり、アメリカはGDPと同水準の額を、外国から借りていることになります。そして今、パニックはここにあるといえ、GDPは縮小するでしょう。」

われわれは前回のクレジット・クォータリー・アウトルックで、QEを拡大させ、このバブルをさらに膨らませるのは危険だと警告しました。しかし、政策立案者たちはまさにそれを行いました。新型コロナウイルスはエンジンに投げ込まれる砂であり、やがてエンジンが止まりパニックになります。スリー・ストライクで、マーケットは三振アウトです。

現在、リセッションに陥っているのでしょうか。

「私たちは不景気の真っただ中にあり、深刻な状況にあります。」

「新型コロナウィルスをきっかけに信頼が失われ、サイクル全体が変わる恐れがあります。これはアジアの投資家が米国の資産を売却していることを意味しており、個人投資家は株式や信用から金融市場のプールに戻ることはないでしょう。」

「われわれは前回のクレジット・クォータリー・アウトルックで、QEを拡大させ、このバブルをさらに膨らませるのは危険だと警告しました。しかし、政策立案者たちはまさにそれを行いました。新型コロナウイルスはエンジンに投げ込まれる砂であり、やがてエンジンが止まりパニックになります。」

「スリー・ストライクで、マーケットは三振アウトです。FRBは二週間前に50ベーシスポイントの緊急利下げを実施し、その後ECBの市場を失望させた声明、そしてOPECによる予想外の交渉により原油価格が急落しました。ほんの数日で三つの大きな出来事がありました。それに続いて予想外のFRBによる100ベーシス・ポイントの利下げが実施され、市場は完全に信用を失い、売りが始まり流動性はなくなりました。」

それでは、悪い材料しかないのでしょうか。

「第1の明るいニュースは各国の財政政策に関してです。政策対応の最後の段階でもありますが、現在の状況に対する正しい答えは、まさに財政政策であると考えます。」

「2008年と比べると、政治家は現在が不安定な状況であることをより早く理解しているようです。それは、企業や有権者たちが現実に被害を受けているからです。2008年に救済を必要としたのは、それまでに大きな利益を稼ぎ出していた銀行とウォール街でしたが、彼らを救済したことは好ましいことではありませんでした。当時に比べ今のところ、はるかに速い反応が見られ、財政刺激策が近づいて来ているように見えます。実際に打ち出され、効果を見なければなりませんが、少なくとも悪いニュースではありません。」

「第2の明るいニュースは、売りのスピードに関してです。株式市場とクレジット市場の急落は前例がないスピードです。株式市場の下落やクレジットスプレッドの拡大のスピードは2008年を上回っています。例えば、株式市場では2008年の危機時に1年かかって実現した下落率を、このほんの1か月で達成するほどのスピードです。売却のスピードは非常に速く、それ自体は良いことだと考えます。」

「私たちはすでにリセッションに陥っていますが、それは重要な点ではありません。株式市場とクレジット市場はGDPの変化とはそれほど相関していません。これまでも、景気を先読みする株式市場のプラスの局面と、GDP成長率のマイナスの局面は併存することがよくあります。」

「私たちの見解では、短・中期的な時期にウイルスの封じ込めは可能と思っているので、今後数ヶ月のうちにV字型の回復が可能と見ています。完全に行き詰まったグローバル・サプライチェーンは、再び始動するでしょう。中国の製造工場では、すでに60%から80%の生産水準に戻っています。ウイルスの拡大が中国に遅れて発生している欧州と米国では、回復には数週間かかる見込みです。GDPの縮小は今後数カ月で反転する可能性は高いと見ていますが、その後、今年の後半には、再度、経済に対する悪影響により失速するものと見ています。」

現在の投資戦略はどのようなものですか。

「市場の混乱が収束した後には、政府債務の水準が上昇し、債務不履行のサイクルの真っただ中にいることが明らかになるでしょう。また、エネルギー部門の大部分が債務不履行に陥り、救済されない限り航空会社も債務不履行に陥る可能性が高いでしょう。しかし、これらはすべて遅行要因です。」

「このような不況では、株式は30%から40%下落する可能性がありますが、ほぼその水準まで近づいてきています。米国のハイイールド・スプレッドは現在850bpsですが、経験則からは800bpsから1000bpsの水準で買い始めるのが良いと考えます。」

「したがって、現在起きているこれらの事象はポジティブなシグナルと言えます。ファンダメンタルズ面は弱いものの、バリュエーション面は改善しており、政策対応を受けテクニカル面でも改善しつつあります。」

「債券部門は徐々に資産の購入に向かっています。危機の真っただ中にいるので、決して楽観的にはなれませんが、何事も夜明け前が一番暗いのです。私たちはこれまで非常に慎重なスタンスで臨んできましたが、皆がパニックに陥っている今こそ、買い始めるのには素晴らしいタイミングだと考えます。私のアドバイスは強気になることです。」

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