japanja
ファクター戦略による投資目標達成:リターン向上

ファクター戦略による投資目標達成:リターン向上

20-03-2019 | インサイト

ファクターに基づく戦略は、長期的なリターン向上につながります。投資家が様々な目標を達成する上でファクターがどのように役立つかを、シリーズで取り上げます。

要点

  • ファクターに対し体系的にエクスポージャーを持つことは、コスト効率の高いリターン向上策となります。
  • ファクター投資は、アクティブ運用とパッシブ運用の中間に位置する投資手法です。
  • 投資家は、適切に設計された戦略を導入することを重視すべきです。

背景

ここ数年間に金融業界が経験した最も重要な変化の1つとして、アクティブ投資戦略からパッシブ投資戦略への大規模なシフトが挙げられます。ここ数十年を通じてアクティブ運用機関のパフォーマンスがしばしば期待外れであったことや、コスト意識が一層高まったことから、多くの投資家は、上場投資信託(ETF)などを活用した低コストのインデックス戦略へと流れていきました。

しかし、こうしたシフトには、いくつもの懸念事項が伴います。パッシブ運用は安上がりであり、またアクティブ運用の投資判断の誤りから生じる不愉快なサプライズを避けるには役立つかもしれませんが、コスト考慮後のパフォーマンスは慢性的に劣後する結果となります。さらに、パッシブ戦略は、極めて大きな裁定取引リスクにさらされています。

このような状況を背景に、多くの投資家は、相対的にコストを抑えながら優れたリスク調整後リターンを達成することを目指し、ファクター投資へと目を向けるようになってきました。実際、2017年にFTSEラッセルがアセットオーナーを対象に実施した調査では、リターン向上は、ファクターに基づく投資戦略を検討するきっかけとなった投資目標の第2位に入りました。

クオンツに関する最新の「インサイト」を読む
クオンツに関する最新の「インサイト」を読む
配信登録

科学的根拠

ファクター投資は、金融市場に存在する様々なファクタープレミアムを記録した、40年以上にわたり蓄積された膨大な経験的証拠を起源として生まれました。これらのプレミアムは、ポートフォリオのリスク・リターン特性を向上させるために体系的に捕捉することが可能です。

ファクターは、例えばバリュエーション、価格モメンタム、ボラティリティなど、個別銘柄の長期的なリスクやリターンを決定する重要な特性です。長期的に見て、特定のファクター特性を持つ銘柄群は、市場ポートフォリオより高いリスク調整後リターンを示しています(図表1参照)。

図表1: 株式の一般的ファクタ-のパフォ-マンス

出所:David Blitz著、「Factor Investing Revisited(ファクター投資の再検討)」、Journal of Index Investing、2015年。1963年7月から2014年12月までの一般的な米国時価加重ファクター・ポートフォリオのパフォーマンス数値。クオリティは、収益性と投資ファクター・ポートフォリオの均等加重の組み合わせと定義。

学術界には深く根差していたにも関わらず、ファクター投資躍進の時は2009年まで訪れませんでした。この年に、Andrew Ang、William Goetzmann、Stephen Schaeferの3教授による調査報告書1が発行されました。3教授は、ノルウェーの石油収入を運用する世界最大級の政府系ファンド(SWF)のパフォーマンスを分析しました。その結果、同基金のアクティブ運用における付加価値の大半は真の運用スキルを反映したものではなく、システマティック・ファクターに対する潜在的なエクスポージャーによって説明がつくことを明らかにしました。

また教授らは、ファクタープレミアムの投資期間が長期であることを根拠に、ファクター投資の採用を提唱しました。それ以降、同様の問題に直面し、ファクタープレミアムを体系的に捉えるための効率的かつ賢明な方法を模索していた世界中のプロの投資家の間で、この概念は急速に広まりました。

その他の検討事項

ファクター投資の導入は、「イエス」か「ノー」の二者択一で済むものではありません。ファクター投資の導入を決定した投資家は、ファクター投資戦略の成功に不可欠な数多くの重要な決定を行う必要があります。まず最初の問題はどのファクターに配分するかです。これはかなり基本的な問題に思えるかもしれませんが、決して些細な検討事項ではありません。こうした商品の提供者の大半は、十分に検証済みの一握りのファクターに集中していますが、学術界では依然として、より特殊で、最近になって見出され報告されたファクターが付加価値をもたらすか否かといった議論がなされているのです。

投資家に求められる2つ目の重要な決定事項は、戦略的資産配分における各ファクターへの配分割合です。この問題については、学術界とこれを実践する金融業界の間でも激しい議論が交わされています。ファクターのエクスポージャーはタイミングを計ることが可能であり、短期的なポテンシャルの高いファクターを優先すべきと主張する人がいる一方で、タイミングを計るのは困難であるため、特定のファクターを戦略的に重視している場合を除き、バランスのとれたエクスポージャーを追求すべきと提唱する人もいます。ロベコも後者に含まれます。

3つ目の重要なステップは、ファクタープレミアムを効率的に捉えることができるソリューションを選択することです。言い換えれば、ファクター投資の実践を通じてさらされるリスクを特定でき、必要なリスクと不必要なリスクとを把握することです。このためには、報われないリスクを見極めて排除するのに役立つツールを開発することが、非常に重要になります。

1 A. Ang, W. Goetzmann and S. Schaefer、「Evaluation of Active Management of the Norwegian Government Pension Fund – Global(ノルウェー政府年金基金 グローバル株式のアクティブ運用における評価)」 ノルウェー財務省の要請により策定、2009年

ファクター戦略による投資目標達成

当記事シリーズは、ファクターに基づく運用戦略を通じて達成可能となる、様々な投資目標について解説するものです。

シリーズの全記事をご覧ください:

ファクター戦略による投資目標達成:リスク削減 ファクター戦略による投資目標達成:リターン向上 Achieving your investment goals with factors: Improve diversification ファクター戦略による投資目標達成:コスト削減 Achieving your investment goals with factors: get specific factor exposure

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

ご契約に際しては、必要に応じ専門家にご相談の上、最終的なご判断はお客様ご自身でなさるようお願い致します。

運用を行う資産の評価額は、組入有価証券等の価格、金融市場の相場や金利等の変動、及び組入有価証券の発行体の財務状況による信用力等の影響を受けて変動します。また、外貨建資産に投資する場合は為替変動の影響も受けます。運用によって生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。したがって投資元本や一定の運用成果が保証されているものではなく、投資元本を上回る損失を被ることがあります。弊社が行う金融商品取引業に係る手数料または報酬は、締結される契約の種類や契約資産額により異なるため、当資料において記載せず別途ご提示させて頂く場合があります。具体的な手数料または報酬の金額・計算方法につきましては弊社担当者へお問合せください。

当資料及び記載されている情報、商品に関する権利は弊社に帰属します。したがって、弊社の書面による同意なくしてその全部もしくは一部を複製またはその他の方法で配布することはご遠慮ください。

商号等: ロベコ・ジャパン株式会社  金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2780号

加入協会: 一般社団法人 日本投資顧問業協会

本記事に関連するテーマ: