統合されたリサーチ求む!

統合されたリサーチ求む!

29-03-2017 | Opinion
今月はロベコのグローバル株式運用チームでアナリストを務めるMasja Zandbergenが、サステナビリティ・リサーチが市場での進展に追いついていない現状について論じます。
  • Masja Zandbergen
    Masja
    Zandbergen
    Head of ESG integration
  • Mark  Glazener
    Mark
    Glazener
    Fund Manager Robeco NV

環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する情報やリサーチは急増

サステナビリティに注目する人の数はこの数年で大きく増えました。もはや、このテーマが廃れて消えることはないでしょう。それはほぼ疑う余地がないと思われます。資産運用会社はどこも議決権行使やエンゲージメントを実施するチームを立ち上げ、ESGの情報を運用チームに提供しています。証券会社も膨大な量のESGリサーチ・レポートを発行するようになりました。これは過去にはなかったことです。そして、明らかに大きな前進です。

しかし、以前と変わらないように見えるのは、こうした情報が広く出回っているのに、そのほとんどは(ESGスペシャリストである)私や、その他サステナビリティ・スペシャリストしか読んでいないということです。テーマは多岐にわたり、豊富です。我々は、気候変動の2℃シナリオや、アジアのコーポレートガバナンスや、2017年のサステナビリティ分野のトレンド・トップ5が生み出す投資機会について、数多くのレポートを読みました。しかし、それが「通常」のファンダメンタルズ分析とリンクしていない状況は変わっていません。

最新の「インサイト」を読む
最新の「インサイト」を読む
配信登録

アナリストがリサーチに費やせる時間には限りがある

実際、「主流」をなす財務アナリストが、こうしたトップダウンのESGリサーチ・レポートを未だにほとんど読んでいないことに気づかずにはいられません。顧客利益を生み出すことが彼らの存在意義であることを考えれば、読んでいないのも十分理解できます。良好なリターンを提供できなければ顧客を失い、最終的には職を失うことにもなり得るのです。また、通常アナリストは特定のセクターや業界に特化しており、ESGの概観的なレポートは、彼らにとっては一般的過ぎます。しかも、財務アナリストがリサーチに費やせる時間には限りがあるため、通常、財務に直結することが最優先となります。大量の情報がアナリストの元に押し寄せる中で、ESGの情報は埋もれてしまうのです。

とは言うものの、誤解しないで下さい。こうしたESGのリサーチ・レポートが書かれることは非常に重要であり、金融業界にはESGを知り尽くした人材がいくらいても十分過ぎることはありません。しかし、ESGのリサーチが本当に役に立つためには、「主流」をなすファンダメンタルズ分析から分離していてはいけないのです。

ESG情報において最も重要なのは財務との関連性

ロベコでは、ESGが株式や債券の主要な運用プロセスに統合されています。最初の段階のESG分析は社内専任のサステナビリティ・アナリストが行いますが、その後財務アナリストがすべての情報を総合して一つの包括的な判断を導き出します。グローバル株式運用チーム内で簡単な聞き取り調査を行ったところ、このプロセスを正しく実行するために最も重要な要素は、関連性の高いリサーチ・レポートを入手することだという結果となりました。関連性とは、財務上のパフォーマンスとリンクしている必要があることを指します。ESGのリサーチは投資プロセスに即した形で提供される必要があります。市場がこうした情報を先に織り込んでいるという必然性はありません。こうした企業固有のリサーチは個別性が高く、我々の投資判断の確信度を高めるような独自の情報を浮き彫りにすることがよくあります。

今まさに進化の途上にあり、道のりは長い

ロベコの財務アナリストは、サステナビリティ・リサーチ・アナリストの近くで緊密に連携することにより、自身の運用ニーズに合わせて作成されたリサーチ情報を受け取ることができます。関連性の高いリサーチ・レポートはセルサイド(証券会社)からも出てくるようになりました。ケプラー・シュブルーはESGリサーチを企業レポートに加えるようになり、モルガン・スタンレーはセクターレポートの中で、重要なESG課題について企業のランキングを公表しています。モルガン・スタンレーは、欧州の銀行に関してはコーポレートガバナンス(および役員報酬)、人的資本、事業遂行、サイバーセキュリティといった分野に注目しており、欧州の医療技術関係企業についてはコーポレートガバナンス、データの秘密保持とデータ追跡、環境基準、患者の安全性といった側面に注目しています。

真の意味でリサーチの統合がなされれば、ESG情報が通常の企業レポートの中で公表される機会が増え、企業の決算説明会で取り上げられる議題にもなっていくでしょう。私はそうしたレポートが増えることを期待しています。それによりアナリストは財務指標には表れない事象への確信度を高めることができ、より豊富な情報を適切に反映した投資判断ができるようになると確信しているからです。それが実現すれば、大きな進化と言えるでしょう。

財務アナリストがESGを投資プロセスに的確に統合するには何が必要か?

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

ご契約に際しては、必要に応じ専門家にご相談の上、最終的なご判断はお客様ご自身でなさるようお願い致します。

運用を行う資産の評価額は、組入有価証券等の価格、金融市場の相場や金利等の変動、及び組入有価証券の発行体の財務状況による信用力等の影響を受けて変動します。また、外貨建資産に投資する場合は為替変動の影響も受けます。運用によって生じた損益は、全て投資家の皆様に帰属します。したがって投資元本や一定の運用成果が保証されているものではなく、投資元本を上回る損失を被ることがあります。弊社が行う金融商品取引業に係る手数料または報酬は、締結される契約の種類や契約資産額により異なるため、当資料において記載せず別途ご提示させて頂く場合があります。具体的な手数料または報酬の金額・計算方法につきましては弊社担当者へお問合せください。

当資料及び記載されている情報、商品に関する権利は弊社に帰属します。したがって、弊社の書面による同意なくしてその全部もしくは一部を複製またはその他の方法で配布することはご遠慮ください。

商号等: ロベコ・ジャパン株式会社  金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2780号

加入協会: 一般社団法人 日本投資顧問業協会