ファクター投資の課題:意図せざるファクター・バイアス

ファクター投資の課題:意図せざるファクター・バイアス

25-04-2017 | インサイト

近年、ファクター投資への支持が広まっていますが、実際にそれを実行する段になると多くの投資家が頭を悩ませているようです。投資家の懸念事項の中でも、意図しないファクター・バイアスを回避することはその筆頭に挙げられます。

要点

  • 意図しないファクター・バイアスがパフォーマンスに影響を与える可能性も
  • ファクターへのエクスポージャーを正確に定めることが鍵
  • ロベコは投資家を支援するツールを開発
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ポートフォリオの過去のリターン源泉の要因分析は、投資プロセスの重要な部分を占めます。これは、伝統的なファンダメンタル分析に基づく国別配分やセクター配分のアプローチをとる投資家にとっては自明のことですが、体系的にファクタープレミアムへの配分を行う投資家にも同様に当てはまります。

こうした分析は、ファンダメンタル運用においては比較的容易に行えます。一方で、ポートフォリオのファクタープレミアムへのエクスポージャーを算定し、個別ファクターのパフォーマンスを算出することは、特にファクター投資を始めたばかりの投資家にとっては、それほど簡単なことではありません。

これは非常に大きな問題となる可能性を秘めています。検知しづらい、意図しないファクター・バイアスがパフォーマンスに重大な影響を与える可能性があるからです。2016年にFTSEラッセルにより行われた調査では、投資家がファクターへの資産配分を検討する際の懸念事項として、意図しないファクター・バイアスの回避が第二位に入っています。

スマートベータ指数には注意が必要

ファクター投資検討に当たり投資家が直面する主な課題を取り上げる本シリーズの初回記事(英文のみ)で指摘した通り、異なるプレミアムのタイミングを適切に計ることは事実上不可能であり、従って、幅広く分散することが極めて合理的です。しかし、残念ながらこれは言うは易く行うは難しという状況で、ファクター同士がお互いの効果を打ち消し合ってしまう可能性があります。

スマートベータ指数に基づく商品では、このファクター同士の打ち消し合いが原因で、ファクタープレミアムの効果を実際には効率的に捉えられない結果となる場合が多いのです。例えば多くの一般的なバリュー戦略では、財務上苦境にある企業など、正当な理由があって値下がりしている銘柄を排除はしていません。これは、バリュー・ファクターとクオリティ・ファクターがぶつかり合う典型的な事例です。

結果として、この種の一般的なバリュー投資商品を活用している投資家は、期せずしてクオリティ・ファクターに対してマイナスのエクスポージャーを持つことになります。ロベコの定量株式リサーチチーム責任者のDavid Blitzと定量株式銘柄選択モデルリサーチ担当のMatthias Hanauerは、2015年の論文(1)で、ある1つのファクターを明確に追求する運用戦略のパフォーマンスは、他のプレミアムに対する潜在的なエクスポージャーに大きく左右されると主張しています。

また、他のファクターへの二次的エクスポージャー次第で、「良い」戦略と「悪い」戦略のリターンには5~7%もの差が生まれることを両氏は発見しました。この計測を行うに当たり、バリュー・ファクターとモメンタム・ファクターを対象とする4つの一般的なグローバル戦略――2つの「良い」戦略と2つの「悪い」戦略――を使用してシミュレーションを行っています。良い戦略はファクターのぶつかり合いを明確に避けていたのに対し、悪い戦略では他のリスク・ファクターに対するマイナスのエクスポージャーが大きくなっていました。

ロベコでは、長期的な好パフォーマンスをもたらす潜在性が実証されている、バリュー、モメンタム、低ボラティリティ、クオリティという4つのファクターを投資対象としています。一般的なシングル・ファクター戦略を組み合わせると、反対に作用するプレミアムへのエクスポージャーにより、その効果を一部または全て中和させてしまう結果となることが多いものですが、ロベコでは、全戦略で効率的にファクターを組み合わせることを徹底し、意図しないバイアスを避けるようにしています。これは株式戦略にも債券戦略にも言えることです(2)

一方で、投資家の既存のポートフォリオ自体が、投資家自身が気づかないうちに大きなファクター・バイアスを抱えている可能性を認識することも大切です。投資家は、新たにファクター志向の戦略を検討する際には、それぞれのプレミアムに対する現在のエクスポージャーを正確に把握しなければなりません。例えば、顧客の既存ポートフォリオがバリューに大きく偏っていた場合、この顧客にとっての最適なファクター戦略は、同ファクターへの配分を明確に減らすものである必要があります。

ファクター配分を検討するとき、投資家がまず最初にすべきことは、どのプレミアムを捉えることを目指すかを定め、それらを正確に定義することです。そのうえで、個別のファクターへのエクスポージャーとそれに付随するパフォーマンスを、適切に評価できることが必要となります。

専用のモニタリング・ツール

ロベコでは、お客様が持っているファクタープレミアムに対するエクスポージャーや、その過去のパフォーマンスを正確に把握するため、「ファクター・エクスポージャー・モニター」(3)という革新的なパフォーマンス要因分析モデルを開発しました。このツールは、ロベコのクオンツ株式戦略の対象となっている厳選されたファクターそれぞれの、パフォーマンスへの寄与を包括的に分析するものです。

もちろん、定量ファクターのパフォーマンス要因分析ツールは他にも多くあり、このテーマを取り上げた学術論文も豊富です。その中で、ロベコ独自の手法の優れている点は、比較的簡便であり、かつ、ロベコ自体のクオンツ投資プロセスで使用しているモデルと一貫したファクター定義を使用している点です。

ロベコ以外のモデルの多くは、広範囲にわたる異なる戦略に利用されていますが、複雑で、分析結果の理解、解釈が難しいものとなっています。さらに、ファクターの定義も、ロベコの戦略で適用しているものと必ずしも一致していません。

ロベコの「ファクター・エクスポージャー・モニター」は、ポートフォリオのリターンに対する個別ファクターの寄与を簡潔に示してくれます。また、国やセクターの選定、配分による効果を査定するために、他のツール(4)と併せて活用することもできます。

(1)バリューとモメンタム投資の落とし穴に関する記事(英文のみ)をご参照ください。

(2)株式債券におけるファクターの効果的な組み合わせ方法に関する過去の記事(英文のみ)をご参照ください。

(3) 「ファクター・エクスポージャー・モニター」については「case studies book」(英文のみ)に詳しい説明があります。

(4) ロベコのDSAAリスク・リターン分析ツールについてはこちら(英文のみ)をご覧ください。

本シリーズは、ファクター投資を実践するに当たり、投資家が直面する主な課題に対する解答を提供することを目的としたものです。2016年に実施されたFTSEラッセルによる調査では、11の主な懸念事項が特定されています。

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

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