Robeco, The Investments Engineers
blue circle
マルチアセット・ポートフォリオにおけるクレジットへの最適な配分とは

クレジット投資に関する9つの疑問点 | Q8

マルチアセット・ポートフォリオにおけるクレジットへの最適な配分とは

短期金利が永遠に高止まりすることはありません。投資家は、普通預金、MMF(マネーマーケット・ファンド)、その他の短期流動性投資などの従来の資産保有戦略の再考を促されています。その際、リスク許容度と投資期間をベースに各種資産クラス間で分散を図る、慎重なアセットアロケーション戦略が極めて重要になります。クレジット市場が変動する中で、投資家はどのようにポートフォリオを構築するべきでしょうか。

マルチアセット戦略においては、クレジットへの最適なアロケーションを決定する前に、どのようなアセットミックス(資産の組み合わせ、構成比)が最も優れたリスク調整後リターンをもたらす可能性が高いかを、検討する必要があります。私たちは生活のあらゆる場面でコストパフォーマンスを重視しています。投資も例外ではありません。リスクに敏感な投資家ほど、追加的に取るリスクに十分見合ったリターンを求めます。最適なアロケーションを決定するためには、3つの主要な要因があります。

  1. 各資産クラスの期待リターンとリスクの想定

  2. さまざまな資産クラスにおけるアクティブ運用の機会

  3. 異なる資産クラスを組み合わせることによって生じる分散効果

各資産クラスの期待リターンとリスクの想定

ロベコでは毎年、すべての主要な資産クラスを対象に、バリュエーション、マクロ・シナリオ、気候変動要因を踏まえて「5ヵ年期待リターン展望」レポートを発行しています。最新の展望では、今後5年間で最も優れたリスク調整後リターンが期待できるのは、「株式25%・債券75%」の組み合わせであることを示しました。このアロケーションは、以下の債券と株式の効率的フロンティアのチャートにも反映されています。もう1つ興味深い点として、このレポートでは、株式から債券にアロケーションを前年比20%シフトするべきと主張しています。この主張は、1つには、株式市場で最も過密状態にある領域のバリュエーションが歴史的なピークに近づいている状況と、その結果、アップサイドとダウンサイドの非対称性がクレジット市場よりも厳しくなっている状況を反映するものです。クレジット・スプレッドには値ごろ感があり、過度にタイトではありません。投資適格の企業の多くにとってリファイナンスのニーズはまだ先であり、リファイナンス・リスクは管理しやすいと考えられます。したがって、資金を現金から市場に戻すことを検討する投資家にとって、「株式25%・債券75%」の組み合わせが最適であると思われます。

債券と株式の効率的フロンティア - 5ヵ年期待リターン展望の比較(2023-27年 対 2024-28年)

債券と株式の効率的フロンティア - 5ヵ年期待リターン展望の比較(2023-27年 対 2024-28年)

出所:ロベコ。2023年9月時点。注:ボラティリティは過去データ(2000年10月~2023年9月)の平均に基づきます。株式はMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス、債券はブルームバーグ・グローバル総合社債インデックスおよびブルームバーグ・グローバル総合国債インデックスに基づきます。ポートフォリオの最適化においては、5ヵ年期待リターンと長期の安定的リターンを組み合わせています。

さまざまな資産クラスにおけるアクティブ運用の機会

マルチアセット・ポートフォリオにおいて、特定のリスク水準でアセットアロケーションの最適化を図る際には、投資先であるアクティブ運用戦略ごとにアルファを想定します。この想定は各運用チームに対するロベコの確信度に基づくものであり、定量分析と定性分析をベースに1から5までの5段階で評価しています。このアルファの想定を、各資産クラスの超過リターンの見通しと組み合わせて用います。ロベコのマルチアセット戦略は、多くの場合、リスクと手数料のバジェット内で運用されるため、できるだけ効率的な方法でこうした相反する要素のバランスをとる必要があります。2023年の「5ヵ年期待リターン展望」では、グローバル・クレジット(ユーロ・ヘッジ付き)とバランス型米国大型株式という2大資産クラスにおいて、同分類のパッシブ運用のパフォーマンスを上回ったアクティブ運用会社の割合を計測しました。両者の投資機会の違いは顕著であり、ロベコのマルチアセット戦略において、グローバル・クレジットにおける超過リターンの見通しはグローバル・クレジットへの配分率にプラスに影響することが明らかとなりました。

異なる資産クラスを組み合わせることによって生じる分散効果

異なる資産クラスを組み合わせることによって分散効果が生じ、リスク調整後リターンが向上することは歴史的に証明されていますが、例外も存在します。過去2年間に見られたように、資産間の相関は一般にインフレ率が高い時期に高まります。今後は、分散効果は回復すると予想しています。ロベコでは、この先5年間、コアCPI(消費者物価指数)は2.5~3%程度の水準で推移すると見ており、歴史的にその水準では債券と株式の分散効果が発揮されます。リスク許容度の低い投資家にとっては、大部分を債券に配分するマルチアセット・ポートフォリオが、良好なパフォーマンスをもたらすと期待されます。