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コロナウィルスによる死亡者数と糖分の関係

コロナウィルスによる死亡者数と糖分の関係

08-09-2020 | インサイト

食品や飲料の糖分は、新型コロナウィルスによる死亡者数に、目には見えない役割を果たしている、とエンゲージメント・スペシャリストのPeter van der Werfは述べています。

  • Peter van der Werf
    Peter
    van der Werf
    Engagement Specialist

要点

  • 新型コロナウィルスによる死亡者の3分の1が糖尿病に罹患していました。
  • エンゲージメント・プログラムを通じて、食品の糖分削減を働きかけています。
  • 企業は進展を見せているものの、成分見直しのペースは緩やかです。

Peter van der Werfは、食品企業は自社製品の糖分を減らす計画を加速する必要があると主張しています。糖分は肥満や糖尿病の主な原因であり、肥満や糖尿病によりコロナウィルスによる死亡の危険性が高まるからです。

英国の国民保健サービス(NHS)の調査によると、新型コロナウィルスによる死亡者の3分の1は、1型もしくは2型糖尿病のいずれかに罹患していたことが明らかになりました。すなわち、体内でインスリンを作ることができず、生涯にわたる治療が必要な状態でした1

コロナウィルスは、基礎疾患を持つ人々の免疫系を狂わせ、より大きな悪影響をもたらすことが知られています。そのため、糖尿病患者の死亡率は、高齢者や貧困層と同様に高水準になっています。現在、世界で4億人以上、言い換えれば成人人口の10分の1が糖尿病を患っています。一方で、米国の全成人の3分の1が肥満の状態です2

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企業にとってもリスクとなる

健康問題以外にも、加工の過程で砂糖を使用することは、企業業績に大きなマイナスの影響をもたらす場合があります。肥満には、保険医療費の増加、生産性の低下、早世などの代償が付随します。このことから、食品・飲料会社は、規制リスク、風評リスク、法的リスク、市場リスクに直面しているのです。

例えば、高所得国、低所得国を問わず、砂糖税を導入している国や、子供向けに不健康な製品を広告宣伝することを制限している国もあります。健康や栄養の強調表示利用については規制が強化される一方で、食品表示の要件は厳格化が進んでいます。最終的に、食生活に対する嗜好の変化に適応しない企業は、市場シェアや、収入、利益を失っていく可能性があるのです。

世界的な肥満危機

同セクターへのエンゲージメントにフォーカスしているVan der Werfは、次のように述べています。「ほぼすべての加工食品や飲料に糖分が含まれていることを考慮すると、糖分は現在の世界的な肥満危機や糖尿病の発症に大きく寄与していると言えます。」

「肥満がもたらす経済的コストは明白です。年間2兆米ドル、世界のGDPの3%近くに達しています。肥満は、喫煙や武器による暴力行為とともに、人間が引き起こす社会的負担の上位3つに入ると推定されています。」

「新型コロナウィルスによる死亡者の3分の1は糖尿病患者であり、糖分が直接的に関与していたと言えます。米国では、新型コロナウィルスに罹患した糖尿病患者が1週間以内に死亡する確率は、糖尿病でない患者の2倍であったことが、研究者により明らかとなりました。」

エンゲージメント・プログラム

ロベコが食品・飲料業界の企業8社に対し行ってきた、自社製品に使用する糖分の削減を促すことを目的とした3年間のエンゲージメント・プログラムは完了に近づいています。

Van der Werfは次のように語りました。「このエンゲージメントでは、長期的成功につながるビジネスモデル確立のため、製品の成分見直しとイノベーションを加速するよう働きかけました。全8社がこれに向けて堅調な進展を示し、糖分含有量は平均で10%低下しました。」

「しかし、それを公表する段になると、当初、多くの企業が『ステルス成分変更』を選択し、パッケージの裏側に製品の糖分量が低下したことのみを記載していました。これは、糖分削減を大々的に発表すると、消費者が往々にして否定的な反応を示し、結果として急激な売上減につながりかねないことが原因です。」

「また、一部で大量の糖分を含む加工食品が消費者に販売され続けていることにも、我々は懸念を持ち続けています。特に、企業の商品群の中でも重要な柱となっている、昔ながらの主力製品に関連しているからです。」

イノベーションが不可欠

健康志向を強める社会で要望される、より栄養価の高い食品を製造するためには、イノベーションが鍵となることが明らかとなってきています。成分見直しを行わない企業は、やがては「糖分の社会的リスク」に対する反発に直面することになるでしょう。煙草がマス市場において社会的に受容されなくなってきたのと同様です。

Van der Werfは次のように述べています。「エンゲージメント対象企業のすべてが、イノベーション管理の進展において、我々が食品業界に期待するレベルを達成しているわけではありません。先行する企業は、その戦略において、健康的な製品カテゴリーへの大規模な移行を果たしました。これは、糖分の社会的リスクを最小限に抑えるという観点で、将来にわたり最も有効な戦略であると考えます。」

「それ以外の企業も、新製品の発売に当たって、通常は、健康的な成分特性が重要な検討事項になると表明しています。しかしながら、糖分の多い炭酸飲料に依然として大きく傾倒している企業や、糖分含有量の高いエネルギー飲料に新たに進出している企業もあります。あるいは、消費者が食べやすい味にするためには通常砂糖が必要となる、高度加工食品への注力を続けている企業もあります。」

新型コロナウィルスにより状況が一変

コロナウイルスの世界的流行によって人間の健康の脆弱性に対する注目が格段に高まり、食品や飲料の糖分含有量を削減する動きが加速する可能性がある、とVan der Werfは述べています。

「新型コロナウィルスの世界的流行により、肥満は深刻な経済的影響を伴う、重大な世界的健康リスクである、という我々の見方は一層強まりました。」

「肥満を防ぐような食事の選択ができない消費者に対して糖分量の高い商品を販売するという行動について、食品業界は将来的に責任を問われるようになるでしょう。従って、肥満リスクは、同業界を長期的に覆い続けるリスクとなるでしょう。」

1https://www.theguardian.com/society/2020/may/20/type-1-diabetics-type-2-coronavirus-nhs-study
2https://www.diabetes.co.uk/diabetes-prevalence.html

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