ファクター投資の課題:配分割合の決定

ファクター投資の課題:配分割合の決定

04-09-2017 | Factor investing challenges

近年、ファクター投資への支持が広まっています。しかし、これから新たに導入しようという数多くの投資家が、実際にどう行えばよいのか頭を悩ませているようです。ポートフォリオにおけるファクター投資への配分割合の決定は、大きな課題の1つとなっています。

要点

  • ファクターへの最適な配分は1通りとは限りません。
  • ファクター投資は、ポートフォリオ全体に適用することも、一部だけに適用することも可能です。
  • ファクターへのエクスポージャーは、注意深いモニターが必要です。
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ファクター投資は過去10年で盛り上がりを見せています。学術論文で公表されたプレミアムを対象とすることのメリットは広く認識されるようになりました。しかしながら、こうした投資ソリューションは、株式市場においても債券市場においても、依然として比較的斬新で一般的でない投資アプローチという位置づけに留まっています。

そのため、明示的にファクター投資へ資産配分することは、多くの個人投資家やプロの投資家にとって、細心の注意を要する決断となります。例えば保険会社や年金基金のような組織において、そのような決定をすると眉をひそめられかねません。他のステークホルダーの間で、ファクター投資の潜在的な利点が正しく理解されていない場合は、特にそのような状況になりやすいものです。

また、企業の組織体制の面でも、投資家は実践上の大きな困難にぶつかるかもしれません。例えば、多くの投資アドバイザーを雇用して伝統的なアクティブ運用ファンドを提供する銀行においては、純粋なアクティブ型ファクター投資への切り替えは大きな変化となります。また、確立された機関投資家であるアセット・オーナーにとっても、資産クラスがベースとなった昔ながらの資産配分フレームワークを廃し、ファクター投資アプローチを導入した形でポートフォリオを再構築するのは、同じように困難かもしれません。

このように、ファクターに基づく投資戦略を初めて検討するに当たり、どのような方法で、ポートフォリオのどの程度の割合をファクター投資に配分するかは、当然ながら、きわめて重要な意思決定になるでしょう。実際に、2016年にFTSEラッセルにより行われた調査では、ポートフォリオにおけるファクター投資への配分割合が、投資家がファクターに基づく資産配分を実践する際の懸念事項の第6位に入っていることがわかりました。

残念ながら、この問いに対する簡単な答えはありません。ファクターに基づく資産配分に関する主要な課題を取り上げた本シリーズの以前の記事(英文)でもご説明した通り、十分実証されたプレミアムを確実に享受する方法は存在しません。投資家は、例えば参照指数に対する柔軟性やファクターに対するエクスポージャーなどの、ニーズや優先事項に応じて、幅広いファクター投資商品や実践手法の中から選択することになるでしょう*。

アクティブとパッシブの中間

ポートフォリオのどの程度の割合を明示的にファクター投資に配分するか決定するに際し、伝統的なアクティブ運用の付加価値をどの程度信じるか問い質すことから始めるのもひとつです。ファクター投資は、ルールに基づく株式や債券の銘柄選択プロセスを通じて体系的に獲得できる、多くのプレミアムの存在がベースになっています。その結果、純粋なパッシブ運用でも伝統的なアクティブ運用でもない、第三の選択肢だと考えられることが多くあります。

アクティブ運用をポートフォリオに組み入れることに意味があると考えるアセット・オーナーの間では、パッシブ、アクティブ、ファクター投資に3分の1ずつ配分するアプローチが多くみられます。本格的に配分する前に試しに少し組み入れてみる場合を除き、目に見える効果を得るためには、一般的に、少なくとも3分の1はファクター投資に配分する必要があるでしょう。

一方、時価総額加重のパッシブ運用をベースとしながら、同時にファクター・ティルトによるメリットも享受したい投資家にとっては、エンハンスト・インデックス運用が検討対象になり得ます。この戦略は、市場リターンを確保しながら、確立されたファクター・プレミアムへのアクセスをも狙うものです。この場合、トラッキング・エラーを例えば1%程度の低い水準に抑えながら、パッシブ運用をすべてエンハンスト・インデックス運用に置き換えることも考えられます。

投資家にとっては、これらの2つのアプローチの間にも無数の選択肢が存在します。異なるファクターに基づくソリューションは、それらを組み合わせることもできますし、伝統的なファンダメンタル運用戦略と組み合わせても相性が良いといえます。例えば低ボラティリティ戦略は、リターンのボラティリティが相対的に低い性質から、ベンチマークを意識した運用商品や高配当ファンドなどと組み合わせることにより、分散効果を狙うことができます**。

エクスポージャーのモニタリング

しかし、どのようなアプローチを採用するにしろ、配分を行う前およびその後も、ファクターへの全体的なエクスポージャーを注意深くモニターすることを、投資家は怠るべきではありません。本シリーズの過去の記事でご説明した通り、投資家は、様々なプレミアムに対するエクスポージャーを完全に把握していなければなりません。例えば、既に保有している資産において、意図しないうちに大きなティルトが存在する場合、その特定のファクターに対するウェートを明確に引き下げるファクター戦略が最も望ましい選択となるかもしれません。

ロベコによる最近のインタビューで、ケンブリッジ大学のファイナンスの教授であるElroy Dimson氏が、アセット・オーナーは、少なくともファクターへのエクスポージャーをモニターする必要があると強調されたのも、このためです。教授は、「先進的でクオンツ運用を重視するような投資家に留まらず、より標準的な投資家であっても、異なるリスクの源泉に対する自身のエクスポージャーを考慮し、それを評価する必要がある」と述べています。

定量的にファクターへのエクスポージャーとパフォーマンス要因分析を行う専用ツールは市場に出回っており、このテーマを取り上げた学術論文も豊富です***。

* ポートフォリオにおけるファクター投資の実践については、こちらのレポート(英文)をご参照ください。
** 「低ボラティリティ投資ガイド」(英文)で詳しくご説明しています。
*** 「ファクター・エクスポージャー・モニター」については「case studies book」(英文)に詳しい説明があります。

本シリーズは、ファクター投資を実践するに当たり、投資家が直面する主な課題に対する解答を提供することを目的としたものです。2016年に実施されたFTSEラッセルによる調査では、11の主な懸念事項が特定されています。

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

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