新興国市場株式運用にはESG統合が不可欠

新興国市場株式運用にはESG統合が不可欠

27-09-2017 | インサイト

新興国市場において、環境・社会・ガバナンス(ESG)課題は非常に重要な要因となっています。先進国市場以上に重要だといえるでしょう。中でもガバナンスは特に注意すべき重要な要素です。新興国では国によってガバナンスの水準に開きがあり、リターンに大きな影響を及ぼす可能性があるのです。ロベコでは15年以上にわたり、新興国企業の分析にサステナビリティ要因を組み入れています。

  • Koos  Burema
    Koos
    Burema
    ‎Analyst Emerging Markets at Robeco

要点

  • ESG情報は、新興国では先進国以上に重要といえます。
  • 新興国市場では、コーポレートガバナンスが最も重要な要因となっています。
  • ロベコでは、国別配分と銘柄選択のプロセスにESGを統合しています。
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ロベコでは、20年を超える新興国市場への投資経験を通じて、ESG要因を投資プロセスに統合することが不可欠であると実感してきました。新興国市場投資において、データの入手が困難であることや、透明性とガバナンス水準が低いことから生まれる市場の非効率性や、気候変動、人権、商品の安全基準に関する課題は、超過収益の源泉となり得ます。

コーポレートガバナンスが鍵

ロベコではコーポレートガバナンスを最も重要視しています。少数株主の利益を保護するための外部機関が少ない国では、良好なガバナンスがますます重要となります。そして、多くの新興国がそれに該当しています。

また、新興国企業においては、コーポレートガバナンスに加え環境問題も重要な要素になり得ます。例えば気候変動は、ビジネス上脅威にも、また商機にもなり得ると見ています。商機としては、再生可能エネルギーへの投資が挙げられます。一方で、将来の設備投資適応の必要性、さらには将来の資産価値の減損(例えば座礁資産など)は、市場ではあまり重大な問題と認識されていないものの、脅威となると考えられます。製造業における労働問題などの社会面の課題も、企業のサステナビリティや財務上の収益性、ひいては投資リターンに対するリスクとなる可能性があります。

新興国市場では、先進国市場で適用されている基準を取り入れようとする企業が増えています。新たな市場でシェアを拡大したいのであれば、それは避けらないことです。

ロベコの新興国市場株式チームは、15年以上にわたりサステナビリティを企業分析に統合しています。サステナビリティが投資の主流として位置づけられるようになるかなり以前から、ESG要因の重要性を認識し、2001年にはロベコ独自のESG調査を始めました。

現在では、以下が当運用チームのESGへの取り組みを支える3つの柱となっています。

国別配分と銘柄選択のリサーチにESG要因を統合

ESG要因はトップダウンの国別配分と、ボトムアップの銘柄選択プロセスの双方に組み入れられています。しかしながら、すべてのESG情報が投資において重要なわけではありません。ロベコは、サステナビリティ投資に特化したグループ会社ロベコSAMと協力し、リサーチ対象となる企業にとって重要なESG要因を特定します。「重要な」とは、企業のビジネスモデルや売上高の伸びなどの価値創造能力に重大な影響を与え得る、ということを意味します。

トップダウンの国別配分:カントリー・リスク・プレミアム

トップダウンの国別配分では、ファンダメンタルズ分析が中心となります。ファンダメンタルズ分析の主要部分を成すのは、新興各国の経済、政治、社会的な強みの比較です。この評価には、国の透明性、政治の安定、株主権利の保護などのESG課題が含まれます。ロベコ独自のESG調査とロベコSAMの国別サステナビリティ・ランキングに加え、腐敗認識指数や政治リスクに関する国際カントリー・リスク・ガイドなど、第三者のデータも活用します。

ESG要因の分析は、個別銘柄のバリュエーション分析におけるカントリー・リスク・プレミアムにつながる可能性があります。これは、国のESG特性がマイナスであると、最終的に個別銘柄のバリュエーション評価に不利に働くことを示唆しています。

ボトムアップの銘柄選択:バリュエーション分析への影響

ボトムアップの銘柄選択においては、ESG情報は企業分析に統合されており、企業のバリュエーションに影響を与える可能性があります。ロベコでは、これにより、現在および将来のリスクとビジネス機会を把握する力が高まると確信しています。 企業のESGへの取り組み実績の評価には、ロベコ独自のESG調査を利用します。このESG調査では、MSCIエマージング・マーケット・インデックスの全構成銘柄のほか、大型株・中小型株を問わず、それ以外の新興国市場の主要企業もカバーし、計1,125社を調査対象としています。さらに、ロベコSAMのサステナビリティ・スコアや、グラス・ルイス社やサステナリティクス社などの第三者によるリサーチも利用しています。

ESGへの取り組み実績の評価だけを根拠として株式の売買を行うことはありません。その一方で、ESG関連のリスクや機会が重大である場合、ESG分析が株式の適正価格に影響を与えます。例えば、加重平均資本コスト(WACC)に100~200bp上乗せすることになる場合もあります。売上高の伸びや利益率など他のインプット要因が、プラスやマイナスの影響を受ける場合もあります。例えば、中国が炭素税を導入することになれば、石炭を燃料とする独立系発電事業者の営業費用を引き上げることになるでしょう。

エンゲージメント(積極的な対話)と議決権行使

運用チームは、社内のガバナンスおよびアクティブ・オーナーシップ・チームとの協力の下、企業との積極的な対話、株主総会における議決権行使を行います。同チームと密接に連携し、取締役の選任や、委任状による議決権代理行使の期限前に財務諸表が入手可能か、といった項目について議論しています。

排除(エクスクルージョン)

最後に、ロベコではエクスクルージョン・リスト(投資除外リスト)も適用しています。ただし、主に最終措置としての使用となります。ロベコの投資除外方針に従い、通常以下のような企業を排除します。

  • 対人地雷禁止条約(オタワ条約、1997年)、クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約、2008年)、化学兵器禁止条約(1997年)、生物兵器禁止条約(1975年)等に従い、人道上問題のある兵器(対人地雷、クラスター兵器、生物・化学兵器)の製造業者
  • 国連グローバル・コンパクトの原則に違反しており、強化したエンゲージメントのプロセスを経ても改善が見られない企業

企業がロベコとの積極的対話を望まない場合、もしくは徹底的な議論を尽くしても対応に変化が見られない場合には、その企業の排除を選択する可能性もあります。とは言え、対話が継続中で進展が見られる間は、できる限り企業を排除しない方針です。排除することにより、企業への影響力を行使する機会を失うことになるためです。

投資プロセスへの重大な影響

ESG要因に起因する市場の非効率性は、潜在的な超過収益の源泉です。ESGデータを国や個別銘柄の分析に取り入れることで、投資機会の真の価値を見極めることができます。ロベコの投資プロセスの中で、こうしたデータは非常に大きなウェイトを占めています。昨年実施されたすべての株式分析と投資判断のうち約30%で、ESG分析が株式の適正価値に影響を与え、その結果、ポートフォリオ内での配分にも影響を及ぼしました。

重要事項

当資料は情報提供を目的として、Robeco Institutional Asset Management B.V.が作成した英文資料、もしくはその英文資料をロベコ・ジャパン株式会社が翻訳したものです。資料中の個別の金融商品の売買の勧誘や推奨等を目的とするものではありません。記載された情報は十分信頼できるものであると考えておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。意見や見通しはあくまで作成日における弊社の判断に基づくものであり、今後予告なしに変更されることがあります。運用状況、市場動向、意見等は、過去の一時点あるいは過去の一定期間についてのものであり、過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。また、記載された投資方針・戦略等は全ての投資家の皆様に適合するとは限りません。当資料は法律、税務、会計面での助言の提供を意図するものではありません。

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