クレジット・アウトルック :欧州への逃避

クレジット・アウトルック :欧州への逃避

02-11-2015 | インサイト
  • Sander  Bus
    Sander
    Bus
    CFA, Managing Director, Co-head Credit team, Portfolio Manager and Head High Yield

要旨:

  • 中国経済の減速が世界経済成長に相当な悪影響を及ぼしている
  • 米国のクレジット・サイクルに変化
  • ECBの社債買い入れプログラム、2016年に開始の可能性が高まる

中国では、負債が持続不可能な水準に達し、その体制に亀裂が生じています。中国は長年にわたり、膨大な財政赤字と信用拡大を代償に高い成長率を維持してきました。しかし、もはやその薬に効き目はありません。信用創造を追加的に実施しても、いっそうの経済成長にはつながらないでしょう。中国に残された唯一の方法は、さらなる人民元の切り下げという禁じ手だけです。もし人民元切り下げが本当に実施されれば、他の新興国市場や商品市場にマイナスの影響が及ぶことは避けられないでしょう。

一方で、米国のクレジット・サイクルは進展し、レバレッジの上昇とM&A取引の活発化に特徴されるネガティブな段階に入っています。世界的に広がる混乱を横目に、欧州はまるで変化の少ないオアシスのようです。欧州のクレジット・サイクルは、他の地域に比べて良好な段階にあり、ECBが好ましいテクニカル要因も提供しています。加えて、ECBは2016年の国債を含む資産購入プログラムの対象に社債を含めることを検討する可能性があります。

新興国市場の信用加速による好況は終焉

長年続いた金融緩和政策は、新興国に典型的な信用加速による好況をもたらしました。その活況も現在では急速に冷え込み、新興国市場の債務スーパーサイクルは終焉を迎えました。弊社もBISが2015年9月の四半期レビューに掲載した以下の見解に賛成です。

「直近のBIS年次報告書で詳細が論じられているとおり、より長期的な視野で考えると、 これらすべてが国内および海外の政策措置の脆弱さを露呈している。そうした措置は、各国で大きな損害をもたらしている金融活況・不況の波を十分にコントロールできずにいる。そのため世界的に債務水準は非常に高く、生産性の成長はあまりに脆弱で、金融リスクは大きな脅威となっている。また異常な低金利が異例に長い期間続き、金融市場は気がかりなほど中央銀行の言動に左右される状況が続いた。その結果、求められている金融政策正常化がかえって難しくなっている。金融政策で世界経済のあらゆる病気を治すことができると期待することは非現実的であり、危険である」。

世界的金融危機におけるこの新しいエピソードの結果を過小評価すべきではありません。 この10年間、中国の急速な成長の恩恵を受けてきたセクターは、極めて脆弱です。金属・鉱山、石油・ガス探査および生産など、特に商品関連セクターは、新たな均衡を見つける必要があるでしょう。また、同セクターでは、厳しいリストラやデフォルトの可能性が極めて高いと考えられます。ポートフォリオ全体において、中国経済の減速の影響をまともに受ける国やセクターは、バリュエーションに関係なくオーバーウェイトするつもりはありません。

中央銀行がもたらすボラティリティ

欧州、米国、日本の中央銀行は、新興国市場の動向を注視しながら、しかるべく対処すると考えられます。つまり米国の金利正常化は減退し、欧州と日本では緩和政策を強化しようとするでしょう。こうした中央銀行の動向は、金融市場のボラティリティを左右します。中央銀行の政策措置によるリスクオンのネガティブな影響が新興国市場の下げのみならず、世界のリスク市場に飛び火するでしょう。弊社は先進国市場では欧州を選好しています。それは、欧州が決してレバレッジ過剰ではない企業の恩恵を受けているからです。米国では、クレジット・サイクルは成熟段階に入り、企業のリスク負担の増加と収益減少が顕著で脆弱となっています。

過去3カ月間、全てのクレジット市場でスプレッドが拡大しています。今になってみると、我々は2014年夏に始まっていたクレジットの弱気相場の只中にいるということが理解できます。しかし、正常なクレジット・サイクル(2002年)で見られたピーク時の水準近辺で取引されている市場もあります。したがって、今は先進国市場のクレジットをアンダーウェイトにする時ではありません。

クレジットの弱気相場はそう頻繁に見られませんが、いったん弱気相場になると短期間ではあるものの厳しいケースがほとんどです。その始まりと終わりのタイミングを測るのは、そう簡単ではありません。今はセクターと発行体ごとに、慎重にポジションを取るべき時です。ネガティブな環境にもかかわらず、先進国市場ではベータが1をわずかに超えるポジションをリスク枠の25%以内で保有し続けています。しかしながら、通常は、ベータは完全にニュートラルになるはずです。先進国市場では、新興国市場の減速の影響を直接受ける国やセクターをアンダーウェイトすることを選好します。

新興国市場ではベータを1未満で維持するつもりです。新興国市場のバリュエーションは他の地域に比べて魅力的ですが、ポジションを拡大する正当性を保証するほどではありません。まず、政府間の合意やデフォルト、そして構造改革を進めることができないポピュリスト的な政府の退陣などを見届ける必要があります。

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